ゴースト
□第一章
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その翌日もいつも通りに登校し、自分の席に着く。
ふと隣の席を見ると、いつもいる彼女の姿がない。
夏目の席は後ろから二番目、窓側から二番目。
そのすぐ隣である窓側の席の持ち主こそ、夏目の想い寄せる美園の席であった。
彼女に限って遅刻などあり得ない。
こんなこともあるのかと、窓の外の校庭を眺める振りをして、美園の席をぼーっと見つめる。
やはり、おかしい。
出席確認でも担任は美園の名前を呼ばなかった。
病気だろうか。
それにしても何の説明もないのは何故だ。
夏目は募る不安や心配を必死に押し殺していた。
美園のことが好きだということは誰にも言っておらず、知られたくもないこと。
そんな自分が美園を気にかけていたら周りに変に思われると思ったからである。
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