ゴースト
□第四章
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夏目は家に帰宅し自室に入るとすぐに鞄から美園の日記帳を取り出した。
昨日とは確実に違う意味で心臓が高鳴る。
改めて見るとかなり厚みのある日記帳だ。
ぱっと見た感じだと辞書と見間違えても無理はない。
三年分くらいは書けるだろうか。
前から3分の2以上は書いてありそうであった。
緊張しながら、恐る恐るページをめくる。
『4月7日。今日は記念すべき高校生活最初の一日だった。
これを機に日記を毎日書いていこうと思う。』
こんな書き出しから始まった日記は、驚くほどほのぼのとした内容が何日か書かれていた。
ふと、気になる文章があった。
『4月23日。最近廊下でよく見かける男の子がいる。
なぜか、目で追ってしまう。
きっと普段は目立たないような人なんだろうな。
って、ちょっと失礼だよね』
まさか、美園に好きな人がいたというのだろうか。
わずかにショックを受けながらも、
その相手が誰なのか気になり、続きを読み進める。
『4月30日。奈々と一緒に初めて学食に行ってみた。
するとあの人がいた。あの人はカツ丼を食べていた。
あたしもカツ丼を食べてみた。』
それから徐々に「あの人」が出るようになる。
どうやら名前も知らないらしい。
きっと自分じゃ到底敵わないような相手なんだろうな、と落ち込む。
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