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□不安な気持ち
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「あ、友達にメール送ってて」
高木は送信を押して、携帯を自分のポケットにしまった。
「どうかした?有岡くん」
……やっぱり、高木は俺のことを恋人扱いしてくれない。
「…もういい」
俺はそういうと、伊野ちゃんの所へ逃げた。
「大ちゃん、素直にならなきゃダメだよ?」
伊野ちゃんは俺の耳元で小さな声でそう言ってきた。
「だって…」
本当は俺のことなんて好きじゃないのかも、とかいろいろ思ってしまう。…寂しい。
「寂しいんでしょ?なら、高木のそばにいれば良いだけだろ。…大丈夫、高木は本当に大ちゃんのことが好きだから」
伊野ちゃんに背中を押された。
高木はもう帰ろうとしている。
「た、高木!あのさ、この後暇?」
高木は驚いた顔をしている。
「暇だけど、どうかした?」
俺はぎゅっと拳を握りしめた。…ちゃんと言わなきゃ。