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□旅をしよう
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絶対に行きたくない。









side Arioka




「なあ、一緒に旅行行こうよ」

高木は最近、毎日のように言ってくる。




知念とフランスに行ったのが楽しくて、俺とも行きたいらしい。








「…やだ。高木とはぜってー行かない」


俺はそういって、山田の後ろに隠れた。本当にしつこい。




「何でだよ。一緒に行こうよ。絶対楽しいって!」


何度拒否しても言ってくる高木。









「雄也、大ちゃんが何で一緒に行きたくないか分かってる?」


山田の問いかけに高木は首を傾げた。




「…俺が嫌いだから、とか?」


自分で言って落ち込んでいる高木を見て、俺は山田と顔を見合わせ、笑った。





「違うよ。な、大ちゃん」


山田の言葉に頷いた。そんな理由な訳ない。








「だって、高木と旅行したら疲れそうなんだもん。実際、知念がめっちゃ大変そうだったし」


あの番組を見て、本当に高木は子どもだと思った。



「お願い!わがままとか言わないし、有岡くんの言う事聞くからさ」


そこから、何度も何度も同じ言葉を繰り返す高木。






「……国内ならいい」


結局、折れたのは俺。だから、皆に高木には甘いとか言われちゃうんだ。



「よっしゃ!!俺、予定とか立てるから」


嬉しそうに俺に抱きついてきた高木。口では嫌と言いながらも本当は少し嬉しくて。












「楽しみだね、夜」


俺の耳元でそっと囁いた高木の言葉を聞いた瞬間、顔が赤くなるのがわかった。




「有岡くん、可愛い」


高木はメンバーがいる前なんてことは気にしていないようで俺の頬を両手で挟み、キスをしてきた。






「…バカ」


俺は高木から離れ、また山田の所へ逃げた。







…やっぱり、行きたくないかも。













End

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