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□君への愛はまだ届かない
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君は気づいてるの?
side Okamoto
「大ちゃん、またこのブレスレットだ」
山ちゃんが大ちゃんの腕を見て言った。
「だって、これお気に入りだからさ」
大ちゃんは嬉しそうに言っている。
そんな会話を向かい側で聞いている俺。
隣に座ってる裕翔がニヤニヤしながら話しかけてきた。
「良かったじゃん。あれ、圭人がプレゼントしたやつでしょ?」
俺は内心すごく嬉しくて、舞い上がっていた。
「本当に圭人ってズルいよね。俺らの誕生日にはあんな良いブレスレットなんてくれなかったのに…」
隣で裕翔がぶつぶつ文句を言っている。
俺は前から大ちゃんのことが好きだった。
俺が悩んでいるとすぐに気が付いてくれて、相談に乗ってくれる。
そんな大ちゃんが好きだ。
だから、あんな風に喜んでいる所を見ると、少し期待してしまう。
自分でもバカだなと思う。
大ちゃんが好きなのは俺じゃなくて、俺がプレゼントしたブレスレットなのに…。
君は気づいてないよね?だけど、今はまだ良いんだ。
こうやって、君を眺めていることが楽しいから。
今はまだ伝わらなくても…。
End