*Short DreamT*

□【跡部】DEEP NIGHT
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「……んっ ……ッ」

 長いキスに郁は苦しそうな吐息を漏らす。けれど跡部は容赦なく彼女の背中を壁に押しつけ、その口内に舌を差し入れる。

「……ッ」

 壁と跡部の腕の中に閉じ込められながら、郁は苦しげに呻いた。深い口づけに息ができない。距離を詰められて身じろぎもままならず、逃げたくても逃げられない状況に陥ってしまっていた。求められるままに、激しいキスを受ける。

 しかし、不意に跡部の唇が彼女から離れた。今がチャンスとばかりに、郁は跡部を見上げる。

「せ、先輩……」

 訴えかけるようにつぶやいた。けれどその続きは言葉にならない。苦しいからやめてと言いたかったはずなのに、息が上がって声が出なかった。

「……あーん?」

 そんな彼女を跡部は面白くもなさそうに見下ろす。

「テメェ、ネコは受け止められても、この俺様の愛情は受け止められねぇって言うのかよ」

「そ、そういうわけじゃ……」

「ならいいだろ」

 こともなげにそう言って、跡部は郁のトップスに手を入れる。未だに抵抗しようとする彼女には構わず、背中に手を回して下着のホックを外した。躊躇いなくその膨らみに顔を埋める。

「……ッ」

 郁の身体がびくりと震える。大きな瞳が一瞬だけ見開かれ、次第に羞恥に潤み始める。布越しの感触を堪能しつつも、跡部は彼女のブラウスのボタンを外していく。あっという間に外し終わると、容赦なく胸元をはだけさせて、その素肌に唇を寄せた。

「せ、先輩…… だめ……っ」

 恥ずかしさに郁は跡部を止めようとするが、それを理解している跡部はもちろん行為をやめない。ふにふにとした触感を今度はじかに楽しみながら、色づいた突端に口づけた。もう片方の膨らみは手のひらですくい上げるように刺激して、彼女をその気にさせていく。

「……ッ、せんぱい」

 苦しげな郁の声に、跡部の加虐心が頭をもたげる。柔らかな胸を覆う手のひらに力を込めると、跡部はずっと口に含んでいた、彼女の先端に歯を立てた。

「やっ……!」

 敏感な場所に噛みつかれ、郁は悲鳴を上げて細い身体を仰け反らせる。ついに耐えられなくなったのか、その場にずるずるとしゃがみこんだ。背中を壁につけたまま、俯いて苦しそうに息をする。



 しばらくの間、跡部は両手を壁についたまま、懸命に呼吸を整える彼女を見下ろした。着衣を乱して頬を染め、肩を上下させる姿を眺める。白く薄い肌は情欲に火照り、胸の先端は愛撫によってたちあがり、片方は自分の唾液で濡れていた。長い睫毛は悩ましげに伏せられ、脚の間からは白い下着が覗いている。

 そんな彼女をもっと困らせてやりたくなって、跡部は唇の端を上げると、へたりこんでいる郁のすぐそばに片膝をついた。顎を掴んで無理やり上を向かせて、先ほどよりも深く口づける。

「…………ッ!」

 声にならない郁の悲鳴を聞きながら、跡部は強引に彼女の唇を開かせる。自分の舌を押し込んで、彼女のそれを絡め取った。強引な跡部の愛撫に、しかし郁の下肢は熱くなる。心の奥の被虐心が刺激されたのか、たまらなくなって、その場所が切なく疼き始める。

 跡部と唇を重ねたまま、郁は自分の身体の奥のじんわりとした熱に耐える。やがて、彼女の入り口から温かな蜜が溢れ出す。……早くその場所に触れられたい。無意識に、郁はそんなことを願ってしまう。既に理性は溶けかけて、跡部自身を求め始めてしまっていた。

 強引な口づけを気が済むまで楽しんでから。ようやく跡部は彼女から唇を離す。

その瞬間、郁は跡部に限界を訴える。

「け、景吾先輩…… もう……」

 情欲に疼く身体を持て余して頬を染め、郁は泣き出しそうな表情で跡部を見上げる。そんな彼女に、跡部は満足げな笑みを浮かべる。愛らしい彼女のその場所に、早く自分を与えてやりたい。

「……ベッド行くぞ」

 はやる心を抑えながら、跡部は郁を抱え上げた。



 華奢な身体を横たえて、そのまま覆い被さる。トップスを下着ごと脱がせて、露わになった二つの膨らみに、跡部は改めて顔を押しつけた。

「……っ」

 何かをこらえているような可愛らしい息遣いを聞きながら、色づいた先端に舌を伸ばす。片方の先を丁寧に舐めてやりながら、もう片方を指で摘んだ。

「んッ…… あ……」

 瞳を閉じて、郁は熱っぽい息を吐く。それに呼応するかのように、跡部に触れられている先端が次第に固さを増していく。それまで軽く開かれていた彼女の脚が、おもむろにしっかりと閉じられた。恥じらうように、もぞもぞと動き始める。

 郁のその仕草に気がついた跡部は、片方の手を彼女の下半身に伸ばす。どんなふうにしているのか確かめたくなり、郁の身体にまとわりついているスカートを、そっとたくし上げた。そのままその場所に手を這わせ、身体を撫でるようにしながら、彼女の動きを確認していく。

 自分の予想した通り、郁は内腿を擦り合わせて、その場所に刺激を与えようとしていた。跡部は目を眇めて笑う。こんなにも欲望に正直な彼女が愛しくて仕方がない。軽く息を吐いて、跡部はゆっくりと身体を起こした。欲求のいいなりになっている恋人を見下ろす。

 長い睫毛を伏せて、呼吸を荒くしながら、郁はベッドの上で思うさま乱れていた。性感の虜になっている愛らしい姿を楽しみながら、彼女自身を煽るように、跡部は郁に囁きかけた。

「……可愛いぜ」

 吐息混じりの声でからかう。しかし彼女は答えない。脚をもぞもぞとさせたまま、とろんとした瞳で跡部を見上げた。その沈黙を催促と受け取ると、跡部は彼女のスカートに手をかけた。

「……脱がすぞ」

 そう言って優しく引き下ろす。次いで下着も取り去って、跡部は郁を一糸纏わぬ姿にする。ずっと邪魔に感じていた衣服をようやく全て除かれて、郁は喜びに息を吐いた。我慢できなくなったのか、たまらない様子で跡部を強請る。彼女の求めに応じて、跡部は露わになった郁のその場所に、そっと指を這わせていった。



 彼の指先が、彼女のそこにわずかに触れる。

「あ……ッ」

 喜びに掠れた声を漏らして、郁はうっとりと身体を震わせた。さらなる悦楽を求めて自分から脚を広げ、跡部にその場所を差し出す。差し出されたその場所に、跡部はぴったりと長い指を沿わせていく。

 既に蜜の滲んでいる、いやらしい割れ目の真ん中に指を置き、跡部は少しずつその中に、自分の指先を沈めはじめた。あまりの良さに郁は切なげに喘ぎ、さらなる挿入を跡部に求める。彼女の可愛らしいおねだりに、跡部の機嫌はさらに上向く。もっとたくさん強請って欲しくて、じりじりとした挿入をわざと止めた。

「せん…… ぱい……ッ」

 困ったような郁の声を聞きながら、途中までそこに差し入れた指を、跡部はゆるゆると動かし始める。ぬるついた割れ目の浅い場所だけを刺激して、彼女をじらして困らせる。

「……ほら、もっと強請ってみせろよ」

 その吐息混じりの囁きは、まるで悪い魔法のようで。逆らうことなんてできない郁は、跡部に求められるまま、はしたない言葉を口にする。その場所を優しくかき混ぜられながら、郁は潤んだ瞳で跡部を見つめ、彼の長い指と彼自身を何度も欲しがった。跡部は小さく息を吐く。

「……仕方ねぇな」

「あ……ッ」

 待ち焦がれた刺激に目を見開いて、郁は甘やかな声を上げる。ようやく、跡部の長い指が自分自身の一番奥まで入れられたのだ。求め続けたものがようやく与えられた喜びに、郁は身体の内側をさらに濡らす。

 眉をわずかに寄せながらも、彼の腕の中で、郁はうっとりと跡部からの愛撫を楽しんだ。緩やかな抜き差しに、割れ目から蜜を滴らせ、華奢な身体をくねらせて、自分自身を高めていく。

 跡部の指が増やされる。狭いその場所を広げるように、何本もの指が彼女の中で意志をもってばらばらと動く。たまらずに、郁は切なげな喘ぎを漏らす。容赦なくそこが広げられていく感覚。

 興奮に、彼女の身体から水のような蜜が溢れ出す。純白のシーツが汚れていく。もう無理と、耐えられなくなった彼女が限界を口にしようとしたそのとき。跡部の指が引き抜かれた。

 郁が訝った瞬間、彼女の一番弱い突起に電流のような刺激が走る。ひときわ甘やかな、郁の嬌声が寝室に響く。

「やッ…… そこ…… だめなの……」

 一番弱い場所に容赦なく触れてくる跡部を、郁は泣きそうな表情で止めようとする。しかし彼女の素直な身体は、跡部が触れるたびにピクピクと反応し、心地よさを訴えていた。

「……良すぎるからダメなのか?」

 突起への刺激を続けながら、跡部は郁を挑発する。

「ち、ちがうもん……」

「違わねぇだろ、こんなに濡らして」

 そう言って、跡部は郁の入り口に指を入れ、わざとくちゅくちゅと音をたてた。自分の性器から聞こえてくる淫猥な水音に、郁の瞳が恥じらいに揺れる。

「……ッ」

 悔しさに息を漏らして、郁は睫毛をそっと伏せた。跡部の言う通りだったのだ。跡部は喉を鳴らして笑う。本当は素直になりたいくせに、つい意地を張ってしまう彼女を、思い切り可愛くしてやりたくて。とんでもない言葉を口にした。

「……いいぜ、もっと良くしてやるよ」

 けれどこれは、跡部にとっては当然の台詞だ。青い瞳が楽しげに細められる。

「っ……! やだ……ッ」

 言葉の意味をすぐに理解した郁は、必死に抵抗しようとする。けれど、非力な郁が跡部に敵うはずもない。あっさりと華奢な身体が押さえつけられ、完全に自由を奪われる。

 容赦なく、彼女のそこが愛され始める。電流のような心地よさが、その場所から郁の全身に広がっていく。

「……い、じわる ……ッ」

 大きな瞳を潤ませて、観念したようにつぶやくと、郁はそっと目を閉じた。抵抗を諦めて、跡部に自分の全てを委ねて、身体の力を抜いていく。跡部の指が彼女の中に入ってくる。

「あ……ッ」

 内側を擦られる感覚に、郁はうっとりと息を漏らす。彼女の様子を確かめながら、跡部は指を増やしていく。彼女の身体が自分の指に馴染むのを待って、ストロークを開始した。

 最も感じてしまう突起をいじられながらの抜き差しに、郁は夢中で声を上げた。全身を痺れるような快感が駆け抜ける。彼自身を入れられている時とはまた違った良さに、郁の意識はひと息に高みに連れ去られる。……抗えない快楽が押し寄せて、彼女の目尻に涙が浮かぶ。そして。

「……あッ ……もう」

 どこか嬉しそうにそう口にして。郁の小さな唇がうっすらと笑みの形を取った。焦点を失った瞳から、ひとすじの涙がこぼれ落ちる。跡部は満足げに微笑むと、興奮に浸る郁を促した。

「……ッ」

 彼女が苦しげに呻いた、そのとき。華奢な身体が瞬間的に強張って、白い足先がぴんと伸びる。ひときわ愛らしい悲鳴が上がる。跡部に見つめられながら、郁は一糸纏わぬ無垢な身体を、本能のままに痙攣させた。

 荒い呼吸に胸を上下させながら、頂点の余韻に浸る彼女を、跡部は愛おしげに眺める。情欲に火照った華奢な身体も、未だにヒクヒクと震える下肢も、その全てが可愛らしくてたまらない。

「……よかったか?」

 とろんとした瞳で、郁は頬を染めて頷く。その素直さに跡部はさらに欲情する。すっかり理性を失っている様子の、愛らしい恋人に命令した。

「なら、今度は俺を良くしろよ」
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