*Shoet DreamU(更新中)*
□【忍足】HONEY SO SWEET
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本番さながらの抜き差しが始まる。お湯が中に入らないように、指は完全には抜かずに、忍足は郁のその場所への出し入れを繰り返す。白い喉を反らして心地よさそうに喘ぐ郁を、忍足は背後から抱きしめる。あまりの気持ちよさに郁は瞳を閉じた。忍足に身体の全てを預ける。
お風呂で響いてしまうのに、もう声を抑えることもできない。はあはあと呼吸を荒くして郁は夢中で喘いだ。粘膜が擦り上げられるのがたまらない。あまりにも良くて、もっとしてもらいたくなってしまう。時々、親指で突起まで可愛がられて、郁は一際甲高い声を上げた。
「ん…… や……ッ あ……」
抜き差しのペースは容赦なく上げられていき、郁の身体はどんどん昂ぶっていく。浴室内に彼女の切なげな息遣いが響く。
「……むっちゃかわええで」
彼女の首筋に唇を寄せながら、忍足は言葉でも郁の身体を煽っていく。
「ホンマにこっちに鏡があって、お湯が透明やったら最高やったわ」
彼女をからかうように、言葉責めの続きを仕掛ける。
「きっと、めちゃくちゃやらしいで」
水を向けられて、つい郁はその光景を想像してしまう。座ったまま、鏡に向かって大きく脚を開いて、忍足に後ろから無垢な身体と無防備なその場所を愛される。それだけでも恥ずかしいのに、鏡に映った自分の痴態にまた感じてしまって、きっと忍足を喜ばせてしまうのだ。あまりの恥ずかしさに、郁は涙ぐむ。
「も…… そんなこと言わないで……」
しかし、素直な身体はさらに蜜を溢れさせた。広げられている脚も決して閉じられず、忍足は満足げな笑みを浮かべて、興奮にさらに潤んだその場所の愛撫を続けた。
「……んっ ……あ」
繰り返される出し入れに、郁の限界が近づいてくる。のぼせてしまいそう。それに、本当に頂点を迎えてしまいそうだ。お風呂の、しかも湯船の中なのに。ここで達してしまったら、自分はどうなってしまうんだろう……。甘やかな空想に、郁は浸る。
忍足の指は相変わらず、自分のその場所の愛撫を続けている。いくつもの痣をつけられた首筋には舌が這わされ、下肢の突起も執拗に刺激され続けている。自分のコントロールはとうに離れた、欲求に素直な身体はどんどん高まって、既に直前の浮遊感に囚われていた。
「ん……」
もうたまらなくなった郁はまた、甘い喘ぎを零す。心地よさに溶けそうな意識の中で、郁は不安と、ほんの少しの期待を感じてしまう。けれど、そんな一番気持ちのいいときに。忍足の指が急に抜かれた。
「……え?」
思わず、郁は残念そうな声を出す。あまりにも残酷な、急なおあずけだ。湯船の温かさと忍足の丁寧な愛撫で、すっかり火照ってしまった身体が切なさに疼く。
「……ココで最後までしたら風邪引いてまうからな」
だからちょっとだけガマンやで。郁をギュッとして、忍足は囁く。耳殻に息がかかる。忍足の低い声に郁はまた感じてしまう。身体の奥がさらに潤う。
「ほな、ベッド連れてったるわ」
そう言われて、耳朶を甘噛みされて。なぜか、郁はとどめを刺されてしまったかのような気持ちになった。
エアコンを効かせた寝室で、忍足は風呂上がりの恋人の素肌を堪能する。たっぷりと湿り気を帯びた柔らかな肌は、高い体温と相まって最高の心地よさだ。入浴剤のふんわりとした残り香を楽しみながら、忍足は郁の無垢な身体に舌を這わせる。
今日はなぜか、甘い味がする。綺麗な鎖骨を辿って、片方の胸の膨らみの先端を口に含んだ。舌先でそこを刺激しながら、空いている方の手を彼女の下方に這わせる。肉付きのよい太ももを、優しく撫でた。
「あっ…… ん……」
下肢を撫でられてもどかしくなったのか、郁の唇から僅かな喘ぎが漏れる。
「……っ、センパイ」
ずっと閉じられていた郁の瞳が開かれる。潤んだ瞳で何かを求めるように、自分を見上げてきた。忍足は唇の端を上げて彼女を促す。何を求められているかくらい分かるけど、彼女に言わせたかったのだ。
「……どしたん?」
「あ、あのね……」
発情しきった彼女に可愛らしく挿入をねだられて、忍足は満足げに微笑んだ。
***
ベッドで全てを終えてから。郁はお気に入りのニットガウンを着て、布団の中で震えていた。
「……郁、エアコンの温度もっと高くした方がエエ?」
「ん…… これで平気です。 ……ありがとうございます」
最中もずっとついていたエアコンはよく効いていて、室内は暖かなはずなのに。郁は寒気を訴えて、厚着をして布団の中で震えていた。
「いちお風邪薬飲んどこな。持ってくるわ」
エアコンのリモコンをテーブルの上に置いてから、忍足はそう言って部屋を出て行く。一人残された郁は、ひとまずベッドの外に出た。寝室に置かれている小さなテーブルの前にぺたんと座って、忍足を待つ。
水の注がれたコップと風邪薬の錠剤の瓶と、あとは郁が昼間にあげたチョコレートを持って、忍足はすぐに戻って来た。
「ほら、薬と水や。あと、チョコも持ってきたから食っとき」
チョコは栄養価が高いからな。なんて解説をしながら、忍足は郁の前のテーブルの上にそれらを置いた。
「……ありがとうございます」
お礼を言って、郁は風邪薬の瓶を手に取った。錠剤を取り出して、水と一緒に飲む。そして、チョコレートを頬張った。昼間自分が贈った高級なもの。甘くてとっても美味しい。
「チョコ美味しいです」
自分が選んで忍足に贈ったものなのに。郁はついそんなことを言って微笑む。多くの女の子と同じように、甘いものが大好き。チョコレートも大好きだった。
「ん、ほんなら俺にも食わして」
「え?」
けれど唐突に、妙に機嫌のよい忍足に不思議なことをねだられて、郁は戸惑う。食べさせるって、つまりはいわゆる「はい、あーん」なのだろうか。ちょっとだけ気恥ずかしくなってしまいながらも、大好きな忍足の希望はなんでも叶えてあげたくて、郁はチョコレートを手に取った。
アルミ箔で個包装された、プレート状のミルクチョコ。自分が持つところだけを残して包装紙をはがして、忍足の口元に差し出す。
「はい、あ…… どうぞ」
あーんとはやはり言えなくて、郁はぎこちない言い回しで彼を促す。しかし。
「そんなん嫌やわ。口移しがええ」
「え〜!」
唇を尖らせて可愛くわがままを言われてしまって、郁はさらに困ってしまう。けれど、拒んでもどうせまた丸め込まれて、結局やらされてしまうんだろう。にやにやと楽しげに笑う忍足の視線を感じつつも、郁は仕方なくチョコの端をそっとくわえた。
「…………」
くわえているので喋れない。郁は黙ったまま顎を上げて、チョコを忍足の口元に差し出す。ちょうど、キスをねだるときと同じ格好。でもそれよりも遥かに照れてしまうのはどうしてなんだろう。
「ん、めっちゃ美味そうやわ」
とてつもなく楽しげにそんなことを言いながら、忍足は郁の頬に手を添える。食べたいなら早く食べればいいのに、忍足はなかなかそうしようとはしない。恥ずかしそうにチョコをくわえて自分に差し出している、郁をじらすように。その羞恥を煽るように、彼女の表情を楽しんでいる。
『早くして下さい! チョコ溶けちゃいますし!』
そう言いたくても言えずに、郁は恥ずかしさに瞳を潤ませる。実際に唇が触れているところは、僅かだけど溶け始めていた。
「……かわええからずっと眺めとりたいけど、溶けてまうからな」
残念そうにそう言うと、忍足はようやく差し出されていたチョコを口にした。顎を斜めに傾けて、僅かに唇を開いて。まるで深いキスをするように。
その様は、まるであの有名な合コンゲームのようだ。けれど二人の唇の距離は、それよりも遥かに近い。器用に郁の唇からチョコを奪い取り、忍足はそのまま彼女の唇にキスをする。
「……っ!」
驚いた郁は反射的に逃げようとするが、それを許す忍足ではない。力強い腕で彼女をぐいっと引き寄せて。チョコはすぐに呑み込んで、深い口づけに移行する。カーペットの敷かれた床の上に彼女を押し倒して、何度も何度も口づけた。
「……もっぺん、するの?」
潤んだ瞳を不安げに揺らし、郁はキスの合間に忍足に尋ねる。
「……俺はしたくなってもうたんやけど、郁は?」
なぜか逆に聞き返される。カラダは平気なん、と続けられて。素直な郁は頬を染めてしまう。風邪の具合の話をしているはずなのに『カラダは』なんて言われるとまた照れてしまうのだ。先ほどの口移しの羞恥で、寒気なんてどこかにいってしまっていた。
大好きな彼氏からの甘すぎるおねだりを断れるはずもなく。
ベッドの上でチョコ味のキスをされながら、郁は幸せな気持ちで、忍足の背中に腕を回した。