*Shoet DreamU(更新中)*

□【跡部】冬の終わりに(後半)
1ページ/2ページ

 触れるだけの優しい口づけは最初の数度だけ。すぐに口内に舌を入れられて、貪るように求められる。そのまま、郁はソファーに押し倒された。

「……せん ……ぱいっ」

 本当にこのまま、こんなところで行為に及んでしまうのだろうか。今二人がいるソファーはソファーとしては立派だけど、寝台としてはやはり手狭で、身じろぎもままならない郁は不安げな声を漏らす。

 けれど跡部はその呼びかけには答えずに、片手で彼女のスカートをたくし上げる。そのまま、そこに顔を近づけて。白くて柔らかな郁の太腿の、付け根近くに唇を這わせた。ぬるりとした舌の感触に、郁は反射的な悲鳴を上げる。

「……ッ!」

 まさかそんな場所を舐められるなんて思っていなかった。驚きと羞恥に、郁の身体が強張る。しかし、狭いソファーの上では抵抗もままならない。彼女はそのまま跡部の行為を受け入れる。

 普段の愛撫はもっとストレートで、こんな妙なことはしたがらないのに、今日はどうしたんだろう。郁は跡部に愛されながら、ぼんやりと靄のかかった頭でそんなことを考える。けれど、そのとき。くちゅりという水音と同時に、彼女の内腿にわずかな痛みが走った。

「……ッ」

 キスマークなんて首筋でも恥ずかしいのに、そんな場所に付けられて、郁は泣きそうになってしまう。だからといってやめてとも言えずに、彼女はただ身体を硬くして跡部の愛撫を受けた。濡れた舌が肌を這う感覚に、ぞくぞくとした痺れを感じる。痛みを伴う口づけも何度も落とされて、その度に郁は息を呑み、胸の鼓動を早めてしまう。

 不意に、欲情した跡部の吐息が彼女の脚の間にかかった。まだ下着越しとはいえ、自分の脚の間に顔を埋めている彼の気配を濃厚に感じてしまい、郁はその場所を潤ませる。

 最初はただ恥ずかしくて、やめて欲しいというだけだったけど、今はなぜか焦らされているような、もどかしい気持ちになっていた。素直すぎる身体に若干の自己嫌悪を感じながらも、郁は身体の奥まった場所を、彼に促されるままに昂ぶらせる。跡部に愛される、その心地よさには抗えない。

 無意識に、彼女は熱っぽい息を吐く。身体は既に充分に熟して、呼吸も乱れ始めていた。自分の行為にすっかり参っている様子の愛らしい恋人を見下ろしながら、跡部は艶やかな低い声で問いかけた。

「……ここでされるのとベッドでされるの、どっちがいいんだ?」



 純白のベッドシーツの上にそっと郁を寝かせて、跡部は彼女に口づける。何度も繰り返しその柔らかな感触を味わいながら、跡部は郁の衣服を一枚一枚はぎ取っていく。

 両の瞳をそっと閉じて、甘やかな口づけに浸っている様子の彼女には、もう抵抗するつもりはないようだ。大人しく脱がされていく。そして一糸纏わぬ姿にされると同時に、郁は跡部に大きく脚を広げられた。そのまま彼に覆い被さられる。

 跡部は今度は自分のシャツに手を掛けると、彼女の首筋に唇を寄せながら、その胸元を片手ではだけさせていく。あっという間に全てのボタンを外すと、跡部は投げ捨てるようにシャツを脱いだ。今度は郁の喉元を吸い上げる。薄い肌を執拗に吸って、そこにも鮮やかな痕跡を残していく。

「せんぱい…… そんなとこ……」

 見えちゃう、という郁の抗議には、もちろん跡部は耳を貸さない。むしろ逆で、わざと見えるところに痕をつけているのに、それに気づかない鈍い恋人が小憎らしい。

「……タートルでも着とけばいいだろ」

 ぶっきらぼうに言い捨てると、跡部は今度は郁の身体の下方に唇を滑らせた。柔らかな二つの膨らみの愛撫に移る。片方の先端は指先で、そしてもう片方の先端は舌先で、跡部はそれぞれを同時に可愛がる。

「……っ」

 感じてしまう場所を同時に弄られて、郁の息遣いがさらに荒くなる。時折からかうように痛くされて、その度に郁は白い喉を仰け反らせる。甘い刺激に声を我慢することもできず、薄く開いた唇から、彼女は間断なく欲情に掠れた喘ぎを漏らす。

もう何度も身体を重ねているのに、こうやってほんの少し触れられるだけで、彼に夢中になってしまう。自分の浅ましさに、郁は目尻に涙を浮かべた。

 けれど、今の彼女の心の中にあったのはもっとしてほしいという思いだけ。跡部もまた、郁のそんな思いに気づいているのか、さらに行為を進めていく。柔らかな膨らみの頂付近にも痕を残して、満足そうに唇の端を上げた。しかし、彼の下にいる郁は、非難がましい目で跡部を見上げる。

「せんぱい……」

「下着つければ見えねぇだろ」

「……ッ」

 何を言っても、どうやら今は聞いてもらえないようだ。ようやく彼女はそのことに気がつき、肩口を震わせる。けれど、あまりにも甘い跡部のお仕置きに、従順な身体はとろりとした体液を溢れさせていた。

 大好きな跡部にもっと触れてもらいたい。熱を持ったその場所を、彼自身で満たして欲しい。浅ましい願いが心の内に浮かび、郁は羞恥に瞳を潤ませる。間を置かず、まるで彼女の願いを叶えるように、跡部の指先が郁の下腹部に伸びてくる。

「……ッ!」

 既に一糸纏わぬ姿にされていた。潤った入り口に直接触れられて、郁は反射的に身体を固く縮めてしまう。細い脚に力が込められ、郁は広げていた脚を無意識に閉じようとする。しかし、それを許す跡部ではない。郁の耳元で甘く囁いて、彼女を自分の意のままに操ろうとする。

「……ちゃんと力抜け」

 跡部の艶やかな低い声は、まるで媚薬か何かのようだ。郁は高熱にうかされたような錯覚を覚える。あれほどまでに感じていた羞恥が次第に薄らいでいき、郁は跡部に命じられるまま身体を緩めて、自分から大きく脚を広げてしまった。まるで彼を誘うように、脚を折り曲げて腰を浮かせる。

 彼女のねだるような仕草に、跡部は満足げな表情を浮かべる。

「……可愛いぜ」

 裸の恋人のいやらしい姿を褒めてやりながら、跡部は彼女の割れ目を探る。その場所は既に充分すぎるくらい潤っていた。自尊心と征服欲が満たされて、跡部は青い瞳を眇めて笑う。加虐心が煽られる。

 清らかで愛くるしい彼女を、こうやって溺れさせてゆくのが、跡部はたまらなく好きだった。性感の虜になって、思うさま乱れる姿を鑑賞するのは、この上もない快感だ。もっと良くしてやりたい。甘く喘ぐその姿を、もっと見たい。

 奥まった小さな入り口はすぐに見つかって、跡部はまるでご褒美を与えるように、その場所に長い指を差し入れた。粘性の水音が彼の耳に届く。

 郁の身体の内側は、跡部の予想以上に熱を持って柔らかかった。跡部が指先を動かすたびに、蜜のような体液が彼女の中から溢れだし、彼の愛撫の手助けをする。丁寧に内側を探って、彼女の準備を整えてやりながら、跡部は割れ目の上部の突起に触れた。

「や……っ!」

 ひときわ甲高い声悲鳴が上がる。まだ、包皮の上から触れられているだけなのに、跡部によって高められてしまった郁の身体は、あまりにも素直な反応を返してしまう。

「そこ……っ や……っ」

 もたらされる快感に戸惑っているのか、郁は涙に潤んだ瞳で跡部に縋る。白い裸身を跡部の逞しい身体に押しつけて懇願する。しかしその言葉に説得力はない。細い腰は快感にくねり、跡部に指を差し入れられているその場所も、彼の愛撫を喜ぶようにひくひくと震えていたからだ。

「……イヤじゃねぇくせに、素直になれよ」

 楽しげに喉を鳴らして、跡部は郁をもっと感じさせてやるべく、彼女の突起の包皮を剥いた。容赦なく直接刺激する。

「……っ!」

 その瞬間、電流が流れるような衝撃が彼女の身体を駆け抜けた。反射的に、郁は息を呑んで瞳を閉じる。彼女の様子を確かめながら、跡部はさらに郁の入り口に指を足し、剥き出しの突起を引っ掻くように刺激する。不意に彼女のつま先がピンと伸び、全身が瞬間的にこわばった。

 自分の腕の中で心地よさそうに頂点を迎える裸の恋人を、跡部は満足げに見届けた。



 郁が頂点の余韻に浸っているうちに、跡部も全ての衣服を脱ぐ。未だに放心している様子の彼女を強引に引き起こして、次の行為を要求した。

「お前も痕つけろよ」

「……え?」

 予想だにしないことを命じられ、郁は戸惑う。困ったような表情で、跡部を見上げた。

「でも……」

「いいから、ほら」

「……ッ」

 ベッドの上での彼の命令は絶対だ。仕方なく、郁は跡部の脚の付け根に口づける。自分がされたように唇を滑らせて、舌も使って奉仕する。

 しかし。いかに小さな痣とはいえ、跡部の肌に傷をつける勇気など郁にあるはずもなく。彼女はひたすら跡部の内腿に舌を這わせるばかりで、頑なに痕をつけようとしない。

「……ほら、ちゃんとやれ」

 けれど、跡部はよほど自分の言うことを聞かせたかったのか、強引に行為をさせようとしてきた。郁の後頭部に手をやって、彼女の顔を強引に自分自身の方に引き寄せる。しなければ離してもらえない。恥ずかしさを我慢しながらも、郁は跡部に従う。

「……ッ」

 恐る恐るといった様子で、郁は跡部の内腿に遠慮がちに痕をつけた。小さなものをひとつだけ。大好きな跡部の磁器のように美しい肌に痣をつけるのは、やはり郁には難しかった。

 けれども、彼女らしい控えめな口づけに、跡部は溜飲を下ろす。瞳を揺らして戸惑う様子も愛らしく、跡部は郁にさらなる行為を強要する。健気に奉仕する彼女の姿を、もっと見ていたい。

「足りねぇな、もっとしろよ」

「…………」

 羞恥に泣きそうになりながらも、跡部に逆らえない郁は、言われた通りに彼の脚の付け根に痣をつけていく。ちゅくちゅくと音を立てながら数個ほどつけて、気遣わしげにその赤い痕を舐めた。まるで傷を癒そうとする獣のように。

 そんな彼女を見下ろしながら、労うように、跡部は郁の髪を優しく撫でる。恥ずかしがりながらも、自分のために頑張って尽くしてくれる姿が愛しい。小さな赤い舌を伸ばして自分の身体を舐める姿も子ネコのように愛くるしく、加虐心がかきたてられる。

 次は何をさせようか。そんなことを考えながら、跡部は郁の美しい髪を一房取って、口づけた。



「……んっ ……あん」

 甘い喘ぎを漏らしながら、郁は恍惚に浸った様子で跡部のものを頬張っていた。両の瞳は既に焦点を結んでいない。そのままの流れで、跡部は彼女に口淫をさせていた。素直な郁は彼に命じられるまま、跡部のものを口に含んで懸命に奉仕している。根本までくわえ込んで、裏側の線条にも舌を這わせて、丁寧な愛撫を行っていた。

 跡部は満足げな表情で郁を見下ろしながら、彼女の頭を労るようにそっと撫でる。温かく潤んだ郁の口内はたまらない心地よさだった。興奮に、跡部のものがさらに固さを増していく。いつの間にこんなにも上達したのか、彼女の舌遣いは存外に巧みで、そんなところも跡部をさらに喜ばせる。

 郁もまた、相当興奮してしいるようだ。当初は控えめだった奉仕は、今やとても大胆で、跡部を容赦なく追い立てている。自身を限界まで充血させてから、跡部は用意していたラテックスを手に取った。

「――そろそろ入れてやるよ」

 言うと同時に、跡部は彼女を引っ張り起こして、改めてベッドに押し倒した。華奢な身体に跨がって、手早く個包装を開けて自分自身に装着し、充血しきった自身の切っ先を、郁の潤んだ割れ目に宛がう。

 これ以上焦らす余裕は跡部にもなかったのか、挿入はすぐに行われた。心地よい圧迫感に、郁はうっとりと息を吐く。小さな割れ目が押し広げられ、跡部のものがずぶずぶと彼女の身体の奥まで侵入していく。

 ようやくその場所を満たしてもらった幸せに、郁は浸った。何度回数を重ねても、愛しい人とひとつになるこの瞬間の幸福は、何にも代えられない。

「あっ、ん……っ」

 痺れにも似た快感にたまらず声を漏らして、しがみつくように抱きついた。か細い両腕を懸命に跡部の肩に回して、しなやかな両脚を彼の腰に絡める。跡部も郁を抱きしめ返して、しばらくの間、二人はじっと抱き合った。跡部の前戯で柔らかく潤んでいた郁の内側が、彼の形にぴったりと馴染んでいく。

 不意に郁がうっとりと息を吐き、彼の身体に絡めていた手足をわずかに緩めた。苦しさが和らいだのだろう。それを合図に、跡部は抜き差しを開始した。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ