ファンダム部屋

□所詮は人間―冷たい瞳―
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「クラースは、何故召喚術を身につけたのかしら?」
異界の召喚士――クラースにそう問いかけた。
はっきり言って、目の間にいる彼としいなが同じ召喚士だとは思えない。
カチャカチャ煩い鳴子も、どこか彼を妖艶に見せる刺青も、しいなにはないものだ。
そして何より、しいなは「符術」と呼ばれる術で精霊を呼び出すが、クラースは魔術書を使って精霊を呼び出している。
聞けば、鳴子と刺青がなければ召喚術を行えないという。同じ召喚士なのに、どうしてこれだけの違いがあるのかしら。
「そうだな……。強いて言えば魔術に憧れたから、だな」
「魔術に?」
「ああ。人間でも魔術を使える方法、その答えが召喚術だったわけだ」
「……そう」
人間でも、魔術を?
「精霊の力を借りれば魔術と同等の力を使うことが……」
クラースは何を言っているのかしら。
本気でそんなことを言っているのかしら。

やっぱり、所詮は人間ね。

力がほしいが為に、私利私欲の為に精霊を使うのね。
どんなに楽しそうに話していても、話している時のあなたの表情がどんなに無邪気でも、
『力がほしいだけ』というのは変わらないのよ?
あなたは、それを分かっているのかしら?
……否、分かっていないでしょうね。
でも、そんなあなたに最後のチャンスをあげる私はなんて優しいのかしら。
「クラース」
「そもそも精霊と言う存在は……え?」
「あなたは、……精霊の力を手に入れて、どうするの?」
きょとんとした、間抜けな顔。一応クラトスよりは年上なのね。見えないけれど。


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