越前「ふーん。…ねぇ、テニスやらない?」
『…私と?』
越前「不二先輩や桃先輩とやってるの見たからね。俺ともやろうよ」
『…でも、私…』
テニス…。
やりたい気持ちはあるけれど、でも…。
越前「…ねぇ、」
『…?』
越前「俺、テニスは身長でやるもんじゃないと思ってるんだよね」
『越前君…?』
私だって身長はある方じゃないし、それだけがテニスの強さにつながるものだとは思っていない。
だけど、どうして今その話を?
越前「…見た目が、そんなに大事?」
『っ!』
越前「確かにちょっと奇抜かもしんないけどさ。別に良いんじゃない?」
家族や周助たち以外で、そんなことを言ってくれたのは彼が初めてだった。
私を見るたくさんの人を見てきたからわかる。
越前君の目には嘘偽りなんてなくて、一度止まったと思っていた涙が再びあふれ出した。
越前「!ちょっとっ、」
『っ、ごめんなさい…そんな風に言われたこと、今までになくて…』
越前「…水島さ、ボールが帰ってくるところに必ずいるよね」
『っ、それは…』
髪と瞳のこともだけど、予知能力のことこそ、それを知った人たちの反応が怖かった。
だけど、越前君なら大丈夫かもしれないって。
何度も夢見ては絶望を与えられたくせに、また夢を見たいと思った。
『…、わ、私…』
越前「何?」
『…っ、予知能力が、あるの…』
越前「…予知能力?」
『…うん…』