Twelve-year-old mother -12歳の母-

□少女の記憶
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少年──周助を突き飛ばした少女の顔は、私、だった。

周助は、不二先輩とよく似ていて。





夢なんかじゃ、ない。

これは、そう、"私"の記憶───。





突然、パァンと何かが弾けて。

沢山の、失っていたはずの記憶たちが蘇った。















不二先輩──周助を助けるために、とっさにその体を突き飛ばした。

代わりに雷に打たれた私は眠り続け、3日後に目を覚ます。



エメラルドへと変わってしまった、黒い髪と瞳と共に───。





この時から、私と、私の周りは変わり始めた。



黒かった髪と瞳はエメラルドへ変わり、

突如目覚めた予知能力に、

底なしの記憶力。



エメラルドに変わった髪を見ては一人離れ、

危険を予知した私を見てはまた一人離れ。



弱くなった体では、対抗なんてできるはずもなく。





そうして、周りには誰もいなくなった。





お父様、お母様、彼方たち屋敷のみんな、周助に裕太、由美姉、景吾。

大好きな人たちは、みんなみんな、今の"私"でいいって言ってくれた。

でも、私のせいでみんなにも嫌な思いをさせて、迷惑をかけて。

だからみんな、全く無理をしていないとは、やっぱり言えなくて。





今の自分が、嫌で。

周りの目が、怖くて。



全て無くなってしまえばいいと、

そう、思ったんだ───。















そうして気がついた時には、私は記憶を失っていた。

雷に打たれた、あの日からの全てを。




その後、アメリカへ渡り、そこで生まれ育ったという新しい記憶を手にする。















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