side other.
高月は、朱音の記憶は戻らなかったが、その傾向が見られることを不二に報告した。
その夜、妙な胸騒ぎに、高月は朱音の部屋を訪れた。
そこで見たものは、
『…うっ、っ…』
うなされている朱音の姿だった。
高月「お嬢様!」
慌ててベッドで眠る朱音へかけより、その体を揺さぶる。
しかし、一向に目覚める気配はなかった。
高月「お嬢様!お嬢様っ!…っ…」
高月はすぐに携帯を取り出すと、ある番号へと電話をかける。
相手は1コールで出た。
〈…はい、北原です〉
高月「お嬢様の様子がおかしいんです!すぐに来ていただけませんか?!」
北原〈!すぐ行くわ!〉
高月「おねがいします!」
電話の相手───朱音の主治医である北原純香は、数分でやってきた。
そして、うなされ続ける朱音を見、しばしその場で固まった。
北原は、あることを思い出していた。
それは、朱音が記憶を失う直前。
今と同じように、朱音は苦しんでいた。
北原「…まさか…、」
高月「…北原さん?」
北原「…朱音様の中で、今まさに、記憶が戻ろうとしているのかもしれないわ…」
北原の一言が、朱音の部屋にやけに響いた。
to be continued...
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