Pledge Ring
□一夜限りの再会
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父「そして今、我々クルタ族は再びこの地に戻って来たのだ」
『そんなことがあったんだ…』
父「あぁ。だが、本題はこれからだ」
『え?』
父「当時の国王の願いは、この地に再び王国を築くこと。そしてその願いは、代々、王位継承者の証とともに引き継がれてきた」
『王位継承者の、証…?』
母「これよ」
そう言ってお母さんが見せたのは、自分の左手薬指に嵌められた指輪だった。
よくよく見れば、お父さんの指にも全く同じ指輪が嵌められている。
『これが、王位継承者の証なの?』
母「えぇ。この指輪に描かれているのが、クルタ王家の紋章よ」
『…ちょっと待って。これをお父さんとお母さんが持っているってことは…』
父「そう、私が現在のクルタ国の国王だ。お母さんがクルタ国の王妃。そしてお前が、クルタ国の王女で、次の王位継承者だ」
『私が、クルタ国の王女?』
父「そうだ。…ルリア、お前への頼みがある」
お父さんの纏う雰囲気が一瞬にして変わった。
『何?』
父「もし私達に何かあった時、その時は、お前がクルタ国の王位継承者として当時の国王の願いを受け継いでくれ」
『…うん。わかった』
この時の私には、あまりにも早くこの願いを遂行しなければならなくなることを知る由もなかった。