父「お前は、クルタ国を知っているか?」
クルタ国…?
そんな国、あったっけ?
『知らないわ』
父「なら、話はそこからだね。…我々クルタ族は今となっては小数民族だが、昔は一国を築くほどだったんだ」
『それが、クルタ国?』
母「えぇそうよ。今と同じ、このルクソ地方で王国は栄えていたわ。でも1500年ほど前、王国は突如として姿を消したの」
『え?なんで…?』
母「自分の瞳の色が変わることがあることは知っているわね?」
『うん』
母「それを"緋の目"と言って、その鮮やかな緋色は世界七大美色の一つに数えられているの。それで…」
お母さんはそこで言葉を切り、俯いてしまった。
『お母さん…?』
父「私が代わりに話そう。緋の目を求めてこの地を訪れた人々は、手に入れるために国民の命をも奪い去った」
『そんなっ…じゃあ、国が滅びたのって…』
父「あぁ。最初は戦ったが、あまりにも犠牲者が多かったために、当時の国王は生き残った人々を連れてこの地を離れることを決めざるを得なかったんだ」