side takatsuki.
お嬢様を家へ連れ帰ってから数時間。
今だにお嬢様は眠られたままだ。
ベッドの上で眠り続けるお嬢様は、俺にあの日の記憶を甦らせる。
あの日も、今と同じように、お嬢様は眠られていた。
いつまで経っても目を覚まされないお嬢様。
そして、───。
爪が食い込むほど、強く拳を握りしめる。
もう、あんな思いはしたくない。
全てを失い、一から積み上げ作り出した今。
それを再び失うリスクを伴うコトに、俺は、今手を出している。
怖くないわけじゃない。
だけど、あの時失ったものを取り戻せる可能性が0でないことも事実。
もう後戻りはしないと、自分の行動に後悔をしないと、俺は改めて誓った。