side heroine.
どうしてだろう?
私は、この温もりを、この腕の安心感を、ずっと前から知っているような気がする…。
不二先輩に抱きしめられながら、私はそんなことを考えていた。
───キーン
『きゃあぁっ!』
不二「朱音っ!?」
頭の中に金属音のような音が響いた途端、頭に激痛が走った。
思わず両手で頭を抑えて、その場にうずくまった。
不二先輩が私の肩を掴んで何か叫んでいるのも、周りのざわめきも耳に入らなかった。
「…大丈夫、朱音には僕がついてるから」
「朱音は、一人なんかじゃないよ」
頭の中で、激痛とともに映像が流れる。
こんな記憶は知らない。
貴方は誰なの?
貴方は…、
不二「朱音っ!」
薄れゆく意識の中で、誰かに呼ばれた気がした。