悲しみの回顧

□授業参観の日
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side heroine.



幸村「今日はもう帰るんでしょ?」

『うん。じゃあね、幸村』



あっという間に水曜日になった。

いつものように家事をしてから出かけ、午後の授業を早退してきた。





姉である私が行くことが正しいかなんて、きっとずっとわからない。

それでも、誰かがいるのといないのとでは違うから。

少しでも、周りとの違いがなくなるように。















『さて、どこから行こうかな?』



授業参観のお知らせのプリントを持って、昇降口で佇む。

悩んだ結果、最初にきたのは諒と拓がいるクラス。

この時間は算数だ。



「じゃあ、次の問題を…諒君、やってみてください」

諒「はい」



指名されて黒板の前へ行く諒。

確かこの問題は、昨日宿題で見てあげたところだ。



諒「…できました」

「はい、正解です。よくできました」



小さく「やった」と言いながら自分の席へ戻ろうとした諒と目が合った。

こちらを見ている諒を頷いてやれば、諒は笑って返した。

そのやりとりで拓も気づいたらしく、後ろを振り返っていて目が合った。





その後、潤、冷、晟、とクラスを回って、この時間の授業が終わった。

次の時間は、胡蝶と飛鳥の学年を見に行かなければ。



「姉ちゃん!」



声に振り返ると、そこには笑顔の晟がいた。



『晟、どうしたの?』

晟「何でもない。呼んでみただけ」



そう言ってえへへ、と笑う晟に自然と頬が緩んだ。

この笑顔を、守っていきたいと思ったんだ。















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