side heroine.
昨日、不二先輩に言われた一言が頭から離れない。
自分がどんどんわからなくなっていく。
私は私であって、他の誰でもないはずなのに…。
堀尾「…水島、…水島っ、…水島!」
『っ!…何?』
堀尾「部活行こうぜ、部活」
もう放課後だということに、堀尾君にそう言われて初めて気がついた。
今日の授業の内容は全く頭に入っていない。
…ま、いっか。
『悪いけど、帰るから』
それだけ言って携帯を取り出し、高月に電話をかける。
高月〈はい〉
『…私だけど、もう来てる?』
高月〈はい。校門前でお待ちしております〉
『すぐに行くから』
高月〈畏まりました〉
とにかく、早く家に帰りたかった。
学校にいれば、不二先輩に会ってしまうかもしれないから。
彼といると、私が私でいられなくなりそうで怖かった。