side takatsuki.
ランキング戦というものに行かれたお嬢様が戻って来るのを待ちながら、俺は先日のことを思い返していた。
入学初日、朱音お嬢様に問われた一言は、まさに衝撃だった。
"こと"は、全て完璧に処理したはずだったのに…。
お嬢様、貴女様は覚えていらっしゃるのですか…?
あの日のことを───。
『…高月』
高月「はい」
『私、初めて日本に来たのよね?』
お嬢様がおっしゃったことを、俺は、うまく理解できなかった。
できるだけ平静を装って答える。
高月「何をおっしゃるのですか、お嬢様。貴女様は生まれも育ちもアメリカです。それは、お嬢様が一番理解しているはずでは?」
『そうなんだけど…』
高月「何か、気になることがお有りですか?」
『あの家、知ってる気がするの。それに、初めてあの家に行って"お帰り"って言われた時、なぜだかわからないけど安心したの』
…これは、旦那様にご報告した方がよろしいのでしょうか?
とりあえず、もうしばらく様子を見ましょうか。