オリジナル夢
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目が覚める。ああ、昨日までのオーディションとかアイドルとかが夢じゃ無かったんだな、と思いながら着替える。
まだ、夢を見ている気分だ。
「...それにそろそろ日本に帰らなくちゃいけないし」
ただ、オーディションの結果が出ていないので、それまで帰れないと圭嗣から言い聞かされてはいた。
「おはようございまーす」
リビングのドアを開けると、そこには圭嗣と・・・見覚えのある女の子がいた。
「あ、アリスー!?」
「<Hi!キイ!!>」
圭嗣はふう、と小さく溜息をついて額に手を当てていた。
「キイに会わせろ、と押しかけてきたんだ。」
言った途端アリスに抱き着かれて後ろに倒れこんでしまった。
「????」
「<きゃぁ、超カワイー>」
とアリスにギュッと抱きしめられる。
上に乗っかられるようになっているので上手く動けないでいると、圭嗣が腕をを組みながら呆れて言った。
「<アリス、お前のオモチャじゃないんだぞ>・・・キイ、ほどほどに相手してやってくれ」
アリスはぐいっとキイの腕を引っ張って立ち上がった。
「<さあ、キイ!遊びに行きましょ!!>」
「うぇ、うぇあー?」
そのまま引きずられていくキイを圭嗣は生暖かい目で頑張れよ、と言っているかのようだった。
(た、助けてーーーー!!)
案の定、回りはお洒落な若者だらけ・・・若者向けの店が並ぶファッションビルだ。右も左も普段あまり入らないようなお店が並んでいる。
(か、帰りたい)
自分の服装を見て惨めになる、なんだか回りの人がみんなお洒落に見えて来る。
アリスに引きずられて歩いていると、何度も振り返って見られたり、二度見されたり・・・悪目立ちしていること間違い無しだ。
というのも、アリスはとあるグループのメンバーらしい...というのは、昨日圭嗣が言っていた。
確か『CUBE』という4人組の実験的に作ったグループで公式デビューはしていないものの、ネットやライブでは活動しているらしい。
だから、知っている人は知っているのかもしれない。
それにしても、目立ちすぎだ。
「<あ、いたいた>」
向こうで壁にもたれ掛かっている女の子が手を振りながら笑顔で近づいて来た。
ショートカットにタイトな濃いパープルのパンツとショートブーツ、大きめのファーのついたジャケット、スタイル抜群でまるで雑誌のモデルだ。
(かあっこいい〜)
「<やあ、君が噂のキイ?可愛いね>」
「<ふっふ〜、かわいいでしょ>」
とアリスがキイの背中を押し出した。
「<よろしく、私はニッキー。このアリスとあと2人でCUBEってグループ組んでるんだ>」
と右手を差し出されたので握手する。
「<よろしくお願いします・・・ってまだ事務所に入ってもないんですけど>」
するとアリスは含み笑いしている。
「<実は・・・キイは合格してるんだよね>」
「<ちょっとアリス、それって言ったら駄目じゃないの?>」
ニッキーは呆れている、きっとまだ発表されていないからばらしちゃいけない事だったのだ。
それよりも...
「ええ!?・・・<合格!?>」
とキイが目を真ん丸にしていると、アリスは、はあ?と叫んだ。
「<聞いてないの?社長から>」
「<社長!?>」
混乱しているとニッキーが冷静に言った。
「<あのね、訳わからないから説明してくれない?>」
アリスは暫く黙ってから静かに話始めた。