ハイスペック兄弟の日常

□茶渡泰虎
3ページ/4ページ

一護は走っていた。
綱義を泣かせ、友を傷つけ、町を脅かす敵を討つため走っていた。
悔しくて仕方ない。
もっと力があれば。
早くたどり着かなければ。
その思いは常に一護に実力以上の結果をもたらしている。
「よォ、待たせたな。もうお前の自由にはさせねェ。」
携えた斬魄刀に思いを乗せる。
いつだってこの町を、家族を、友人を陰ながら守ってきた。
自分の大切なものを傷つけるやつに容赦などしない。
たとえそれがこの身を滅ぼす要因になろうと、大切なものを守れて死ぬならそれも悪くない。
もちろん一番いいのは死なないことだけれども。
傷つくことを恐れない。
戦うことを恐れない。
何より怖いのは家族や友人を失うことだから。
もうあの日のような絶望を味わうのは嫌だから。
もちろん一番いいのは死なないことだけれども。
傷つくことを恐れない。
戦うことを恐れない。
何より怖いのは家族や友人を失うことだから。
もうあの日のような絶望を味わうのは嫌だから。
「人間を馬鹿にするのもいい加減にしろよ?」
一護は呟き、蛭のようなものを掴み、ホロウの口のなかへと突っ込んだ。
「ほら、鳴らせるなら鳴らしてみろよ。鳴らさねぇならこの舌、いらねぇよな?」
ホロウの舌を引きちぎり、頭から叩っ切った。
「・・・。」
「一護、構えろ。あのお方がいらっしゃる。」
少しの間感傷に浸っていた一護に声をかけたのはルキアだった。
「あの人?」
「地獄の第五裁判官閻魔大王の第一補佐官、鬼灯どのだ。視察帰りによってくださるらしい。」
「は?」
ソウルソサエティはあの世のいわゆる天国と呼ばれる場所にある。
お咎め無しとなった亡者の住居として流魂街を提供しているのである。
「お久しぶりです、ルキアさん。最近の流魂街の様子はどうですか?」
「お久しぶりです、鬼灯どの。だいぶん治安も安定してきているようです。」
「あぁ、それと今回は見逃しますが、次回会うときまでにはその死神の力なんとかしなさい。次回は容赦せずしょっぴきますよ。からす天狗警察が。」
「すみませぬ、次回会うときまでにはなんとかします。」
一護は交わされる言葉に追い付けず黙って話を聞いていた。
すべての話が終わったらしい。
鬼灯が背を向ける直前、一護に本を二冊渡した。
「・・・見逃しついでに読んでおいてください。おそらく役にたつでしょう。」
一冊は鬼道についての本、もう一冊はあの世の法律の本だった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ