ハイキュー短編

□夏といえば
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今年も、暑い夏がやってきた。



「夏といえばなんだと思う?」


「は?何、いきなり」


「いいからこたえて」




教室でぼんやりしていたら、名無しさんが変な質問をしてきた。
質問の意図がよくわからないが、夏といわれて思いつくものを一応いってみる。




「・・・海とか?」


「はっ!これだから眼鏡は!」


「うん、眼鏡関係ないよね」




僕のツッコミを無視して名無しさんは続ける。




「夏といえば、青い空に浮かぶ白い入道雲でしょ!!」


「そうだねー、僕もそう思うよー」


「棒読み!!」





何を言い出すかと思えば・・・
本当に馬鹿だよね名無しさんって。




「で?結局は何が言いたいわけ?」


「えっとですね、今からその入道雲を見ようと思ってるんですよ」


「見てこれば?」


「月島君も一緒にね」


「はぁ!?なんで僕まで見なきゃいけないのさ!」


「だってボーッとしてたから暇なのかなって思って」


「勝手な思い込みしないでくれるかな。それに見るんだったら窓からでも見れるでしょ」


「はぁ・・・、やっぱり月島君は眼鏡だね。それじゃいつまでたってもサングラスになれないよ。」


「別になりたくないから。それと、この手は何かな」




いつの間にか僕の腕を名無しさんが掴んでいた。それはもう力強く。




「入道雲を一緒に見に行ってくれるんだったらはなしてあげる」




o(*⌒―⌒*)o←こんな感じで言われ、僕は渋々と承諾した。

















入道雲を見に行くといっても、ただ校舎の外に出るだけだ。


それにしても暑い。
たっているだけで汗がでてくる。



げっそりしている僕とは違って、名無しさんはものすごくテンションが高い。

目をキラキラさせながら、「おお、偉大なる入道雲よ!!」何て言ってふざけている。


まぁ確かに入道雲はすごかった。
迫力があって、堂々としている。

僕がそんなことをおもいながら眺めていると、名無しさんがぽつりと呟いた。




「・・・ラピュタって・・・あるのかな・・・」


「・・・」





大丈夫、僕は何にも聞いていない。聞いていないよ。

するとまた、




「・・・空島なら、きっとある・・・!」


「・・・」




・・・。きっと、あるよ。ラピュタも・・・空島も・・・。


僕は何も言えなかった。












5分くらいたっただろうか、そろそろ戻ろうと名無しさんに声をかけた。

しかし、




「あともう少し」














空を見つめながら言った名無しさんの瞳には、白い雲だけが写っていた。














(雲に嫉妬するなんて、バカみたいだ)







end



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