ショート

□謙也
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【最下位のアナタは大切な人に感謝の気持ちを伝えるといいことがあるかも】


毎朝見る星占いで今日の私の運勢は最下位だった。
『大切な人に感謝の気持ち……』
大切な人、私の頭に浮かんだのは現在片想い中の謙也くん。
謙也くんとは中学1年の頃から仲が良くて、クラスでもよく話す。
メールだってするし電話もする。
それでも謙也くんは私のこと、友達程度にしか思ってないと思う。
考えたら悲しくかなってきてため息が漏れた。
『…学校行こっと。』







『はぁ………』
結局、部活の時間まで何も言えなかった。いや、喋りはしたんだけどやっぱ感謝の気持ちって恥ずかしくて言えない…。
謙也くんの笑顔にいつも元気とか勇気もらってる、とか…
『言えないよ…』
「何が言えないんや?」
『け、謙也くんっ…!』
気づくといつの間にか私の隣に謙也くんが立っていた。
『ど、どうしてここに? 白石くんとラリーしてたんじゃないの?』
「もう終わったから水飲みに来てん」
『そ、そうなんだ…』
せっかくチャンスが出来たんだから今言うしかないよね…。
恋は叶わなくてもありがとうって気持ちは伝えたい…!
「で、何が言えないんや?」
謙也くん、そう呼ぶと彼は「おん」と返事をしてくれた。
『私、いつも謙也くんの笑顔を見るたびに元気もらってるんだよ、謙也くんの笑顔で癒されるの。
私あの笑顔が大好き。 謙也くん、ありがとう!』
い、言えたー! 言い足りないけど今はこれでいいや。
私がふと、謙也くんの方を見ると謙也くんは顔を赤くしてこちらを見ていた。
『え……。』
ナマエ、そう呼ばれて自然とはい、という返事が出た。
「お、おお俺も…す、好きや…!」
『え………、何……?』
「せやから……俺もナマエが好きやねん!」
ええええ!? ち、ちょっと待ってよ!私、告白したつもりじゃなかったんどけど……。
謙也くんにはそう聞こえた…?
そりゃ好きって言ったけど、それは笑顔に対してで……。
ていうか、謙也くんも私のこと…。
なんか今すんごい恥ずかしくなってきた……。
「アンタら部活中に何青春しとんですか…」
「な! 財前聞いとったんか…!?」
「そりゃあんだけ叫べば誰にだって聞こえますわ。」
そうだった…。今部活してたんだった……。
「やーん、ナマエちゃんと謙也くん公認カップルやないの!
羨ましいわぁ!」
『や、あ…え…!?』
ど、どうしよう…。私、告白なんてしてないのに…。
どうせならきちんと言いたかったのに。
「ナマエ、よろしゅう!」
謙也くんのいつもの倍以上眩しい笑顔を見ると胸が張り裂けそうになった。
謙也くんも私のこと好きなら結果オーライだよね。
『うん、よろしくね!』
そう言って笑いかけると謙也くんは歯を出してニカッと笑った。
胸が苦しくなるくらい私の大好きな笑顔。

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