嘘のない笑顔で BOOK

□目を反らした事実
1ページ/2ページ


全ては道端で出会ったリボーン君の一言から始まった。


「……くるみ、今日ツナの家にこれねーか?」




リボーン君の誘いを受け、私は今ツナ君の部屋の前にいる。

「ツナ、帰ったぞ。」

『…お、お邪魔します、ツナ君。勝手に入っちゃってごめんね?』

「……へ!?くるみちゃん!?な、なんでここに……」


いくらリボーン君がいいと言ってくれたからといっても、なんの連絡もなしにいきなり押し掛けるのは良くなかったよね……。ツナ君とても慌てちゃってるし。うう、申し訳ない。


「くるみ、実はツナが補習で出された問題が解らないらしくてな。ツナに教えてくれねーか?」

『…う、うん。問題によるけど、私に出来ることならやるよ?勝手に家に入っちゃったお詫びもしたいし。』


そう言うと、ツナ君は申し訳なさそうに眉を下げてから私にお礼を言ってきた。……全然構わないのに。っていうか、さっきから気になっていたんだけれど、そこのベッドでうなされているのって獄寺君だよね?山本くんが介抱してるみたいだけど。……って、ああそうだ、問題だよね。多分解けると思うんだけどなあ。


『えっと、見せてもらえるかな?』

「あ、うん。はい、これなんだけど。」


『……えーっと……。…………………………コレは。』


「ど、どう?解ったりする?」


ツナ君が遠慮がちにそう聞いて来るけれど、私はただ固まることしかできなかった。……なにこれ全然解らない。そう思った瞬間、頭が真っ白になった。こう見えても私は勉強は出来るし、それが私を構成する一つの要素だと自負している。…それなのに。別にお母さんが教育ママだとか、勉強ができなきゃ家にいれてもらえないとか、そういう訳じゃなくて、失礼だけど、たがが補習用の問題すら解けない私に自分で失望したと言うか。……他の人が聞いたら、イヤミ?とかワケわかんないとか思われるかも知れないけれど、だって運動が全くできない、手先も不器用、運も悪いなんてことになったら、もう残るのは勉強しかないじゃないか。だからテストもいつも学年1位になれるように頑張って来たんだ。親にガッカリされないように。お母さんはそんなこと気にしない人だけど、この世界で頼れる人は親だけだけら。嫌われないように、私のエゴだけど頑張って来たんだ。なのに。


「あ、あのー。くるみ、ちゃん?」


はっとした。どうやらあまりのショックで放心していたようだ。慌ててツナ君に微笑みかけた。どうやら誤魔化せたようだ。

『……あ、あー。ごめん、解らない、かな。』

なんとなく解らない事をはっきり認めたくなくて、ちょっとふざけたように言ってみる。

「そ、そっか。くるみちゃんにも解らないんだったらどうしようかなー。他には……」



ツナ君がそう呟いた瞬間、大きな音と共に、なにやら元気そうな女の子が入ってきた。ツナ君も驚いている。……かと思ったら、いきなり私の方に振り返った。


「あああああ、くるみちゃん!こ、コレは違くて!!コイツただの友達っていうか!」


「酷いです、ツナさん!ハルとツナさんは将来を近いあった仲だと言うのに!」


「なに言ってんだよ、ハル!?誤解を招くような言い方やめろよな!」


……確かツナ君達はこんなような事を騒いでいたけれど、正直よく覚えていない。気がついたときには、さっきの問題には大学レベルの問題だと言うことが判明していて、ホッと胸を撫で下ろしたのだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ