嘘のない笑顔で BOOK

□食いしん坊の衝撃
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「今日は家庭科実習で作ったおにぎりを、男子にくれてやるー!」

「「「おおー!!!」」」




………私、知らなかった。調理実習をするのが女子だけだなんて。

………知らなかった。作ったおにぎり、男子に取られちゃうなんて。



…何だか夕日に向かって意味無く叫びたい気分だ。いや、しないけど。

うう。これで今日のお昼はおかずだけか。ま、有るだけマシだよね。


心のなかで自分を諭しながら涙を拭くまねをしていると、私の前に勢いよくツナ君が現れた。


…さては、私のおにぎりが食べたいんだね?うん、私の目から見ても、このおにぎりは隠しきれない神々しさを放っているからね。わかるよ、その気持ち。私も食べたい。よし、じゃあツナ君にあげよう。


『……ツナ君、食べる?』



「………えっ!?いや、そのッ!!」


…ん?あれ、食べたくないのかな?私の勘違い?こんなに美味しそうなのに………って、えっ!?


ふと自分の手元に目を落としてみると、そこには紫色で、ちょっと絵的に放送禁止にしたくなるような、おにぎりの形をしたダークマターがあった。……いや、パープルマター?



って、そんなことはどうでも良くて!嘘……私ってこんな殺人料理作れたの!?これはもう料理苦手とか、そんなレベルじゃない!

ツナ君に勧めてしまった数秒前の私を殴りたいかも……ッ!


一人パニックに陥っていると、何故か私のおにぎりに獄寺君と山本君が手をのばしてきた。

何時もだったら嬉しいんだけど、今の私は真っ青だ。
嫌だ、この歳で殺人犯になんて、なりたくない!


ねえ、獄寺君、山本君!よく見て!?君たちが食べようとしているのは、世にも珍しいパープルマターだよ!?
お願い、目を覚まして!


そして、彼らがそれを口にしようとした一瞬前、私が絶望に膝をつきそうになったとき、今まで黙っていたツナ君が割り込んで来た。

「食べたら死ぬんだぞー!!」


……その通り!と、彼の言葉に安心したのも束の間、ツナ君が私のおにぎりを食べてしまった。


えっ!ちょっと!!…………って、あれ?



しかし、彼に異常は見られない。…なんで?


そのあと、ツナ君は、なんか無差別に女子のおにぎりを食べてしまったみたいで 、皆彼を睨んでいたけど、私はツナ君に心から感謝をしたのだった。
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