NARUTO
□ありがとう。 [シカマル目線]
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思いを抱いたあの日から、
目を離せなくなってしまった―。
『シカマルー』
朝からあいつの声で目が覚める。
寝ている俺でもわかるアイツの声は、いつものように透き通っていた。
「なんだよ、律子。」
『なんだよってなによー。朝寝坊のあんたを起こしにきてあげたんでしょー?』
と、ほほを膨らませて言った。
そんなささいな姿さえかわいいと思ってしまうのは、かなりの重傷なのだろうか。
そんな考えを隠すように、ちょっと冷たく言い放った。
「…で、なんの用だよ。
俺今日任務ないからゆっくり休みたいんだけど。」
『ぁ、ごめん。でも、綱手様が呼んでたよ?私は伝言役。綱手様も幼なじみだからって酷いよねー。私たち使うなんて。』
…どーゆう意味だよ。
まるで俺のとこにきたくないって言ってるよーなもんじゃねーか。
律子はそんな風に思ってないかもしれない。
でも俺は、こんなことさえ苛立ってしまった。
「それって俺のとこにきたくないってことか?」
『ぇ、ちがっ』
「…わかった。綱手様に頼まれても、もうこなくていいから。
今回は伝えてくれてありがとな。もういいから。めんどくせぇな。まぁ行くか。
じゃーな、律子。」
『だから、そんなんじゃっ…
わかった、じゃーね。』
こうして律子は走って行ってしまった。
やってしまった。
言って後悔した。
もうアイツはここにこない。
俺の前にはもう現れない。
一時的な苛立ちが、不幸のどん底にたたきおとした。
幼なじみとして、家に上がるのはいつものこと。
許可なしに入るのも当たり前。
それだけお互い信頼している仲だ。
けど、これでもう終わりだ。
もうアイツが現れるはずがない。
しょうがない。
俺がいってしまったことなんだ。
「ぁ、綱手様に呼ばれてたんだった。」
涙がでそうなのを必死でこらえ、着替えた。
母さんに呼ばれていることを伝え、玄関をでた。
『シカマルっ!』
「は?」
思わず零れてしまった。
なぜ律子がいるのか。
不思議だった。
よくみれば、律子の目は赤く腫れていた。
あ、俺のために泣いてくれたんだ。
『ぁ、あのね、シカマル、あのねっ…
シカマル…?』
なんだ?
何で俺を呼んでんだ?
『なんで、
なんで泣いてんの…?』
「ぇっ…」
気づけば涙がほほをつたっていた。
こんな女々しいところを律子に見られてしまった。
目を擦って律子から目をそらした。
『あはは、私と同じだっ!』
そう言って俺に抱きついた。
ビックリしたあまり顔をあげてしまった。
『…やっと顔あげてくれた。
私ね、あんなつもりでシカマルに言ったんじゃないよ?むしろもっと綱手さんが頼ってくれてもいいくらい。
だってシカマルにいつでも会えるから。』
そう言って俺にみせた笑顔は眩しすぎた。
「…それ、俺のセリフ。
さっきは、悪かった。俺が正気でいれなかっただけなんだよ。ホント…ごめん」
『もういーよ。ありがとう。』
「俺、
律子が好きだ。」
言った。
伝わらなくても、俺の思いをつたえれるだけでいい。
『あはは、やっと言ってくれた!
私もシカマルがずっと大好きでした。』
ありがとう。とつけたして、もう一度俺に抱きついた。
俺は嬉しくてたまらなく、律子をおもいっきし抱きしめた。
『ちょ…シカマル苦しいよ…』
そんなんおかまいなし。
そして、だいた体を離して
優しくキスをした。
『ちょ、いきなり!?ファーストキスだったから、もっと大事にしたかったのにー』
と、ほほを膨らませて言ったが、どことなく嬉しそうだった。
そこがまた可愛い。
「これからもよろしくな。」
うんっ!ととびきりの笑顔をみせてくれた。
もう絶対離さない。
これからは幼なじみとしてじゃなく
恋人としてそばにいる。
俺こそありがとう。