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□お伽話の結末は
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“私…好きな人がいるのでっ…!”



彼女と“今の自分”とでは生きる世界が違う…

それなのに、一度のデートで諦めるつもりがしつこく近づいてしまったり、振られたくらいで落ち込むのは、それだけ彼女に惹かれていたからだろうか?

それとも…

単なる気の緩みなのか…



 《お伽話の結末は》



「うわの空か?随分と寂しいことをしてくれるなァ?」

睨み付けると、ジョーカーはわざとらしく怯えてみせる。
余裕はないはずだが…
クツクツと喉を鳴らしているのは、まだ何か企んでいるからだろうか…。

「何がおかしい…?」
「唐突だが、人魚姫ってどんな話だったかな…?」
「…」
「人魚姫は人間の王子さまに一目惚れして、魔法使いに頼んで人間にしてもらうんだったな。」
「何が言いたい?」
「口がきけない、満足に歩けもしない、しまいにお姫さまは海の泡になって消えるんだってよ。ひでぇ話だ…なァ?」
「…人質は何処にいる…?」
「おいおい、せっつくなよ。」
「答えろ!」
「自分ちにいるって。





“海の泡”になっちまってるかもしれないが…」



 
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