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□守護者との遭遇
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 友人の誕生日だった。

今日は少しだけ、カクテルも飲んだ。
気が付けば夜も遅くなってしまい、明日も朝が早いからと急いで家路に着いたのだが…

物騒な場所だ。
夜は不自然なほど静かだし、わずかな物音にさえ身構えてしまう。
風にさえ怯えながら、足早に街灯の下を通ったとき、突如聞こえた銃声に思わず足が止まった。

見なければいいものを、ノゾミの視線は路地に向けられる。

パーカーのフードとマスクで顔はわからなかったが、男がこちらを向いた。

無言のまま走って逃げるしか、選択肢は思いつかなかった。

必死で走るが、明らかに自分よりも運動神経のすぐれた人間の足音が追い掛けてくる。

このままでは追い付かれてしまう。
そう思った時、後ろから腕が回された。
悲鳴を上げる間もなく、足が地面から離れてしまった。

彼のことは知っている。

彼は、自分のことなど知らないが…



 《守護者との遭遇》



 顔はよく見ていない。
しかし助けられた時、なぜか彼を知っているような気がした。
なぜそう思ったのか、自分でもよくわからない。

「ノゾミ、起きてる?」
「えっ?」

ロッカーに着いてからもボーッとしていたらしく、先輩たちに心配されてしまった。
昨夜のことは、なんとなく誰にも言わなかった。
まだ怖かったというのも理由のうちだが、“バットマンに会った”というのはあまり言いたくない。
朝から公定派と否定派に挟まれて意見を聞かれるのはごめんだ。

「昨日友達の誕生日で盛り上がっちゃって…」
「寝不足?しっかりしなよー?」
「はい。」



 
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