OTHERs

□ROLL-03-
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 ノゾミが友達と出かける回数が増えた。

顔をあわせる時間は減り、一緒に食事をする回数は減り、会話も減った。
酔っ払ったノゾミを連れて帰ることは、もうなくなった。
そんな状態でもタイミングが無かったわけではないが、次の仕事の話はしていない。



 《ROLL-03-》



 「ノゾミはどうする?」

ひとしきり仕事の説明を終えたバーニーがそう振った。
ノゾミが此処にいない理由は、皆薄々感付いているのだろう。
“豹変”したあの日以来、ノゾミはツールの店には来ていない。

「あの子には、もうこの仕事はさせないことにした。」
「そうか。」
「なんだか寂しくなっちまうな。」

そう言ったトールの隣で、シーザーが同感だと頷いた。
寂しいと言いながらも、皆どこか安心した表情だ。

「けど、よく納得させられたよな。」
「…」
「ブッ放すの大好きだろ?」
「あの子はもうトレーニングをしてない。今日だって映画を観に行ってる。
普通の女の子でいさせてやりたいんだ…」
「そうか…。」

皆それで納得したかのように思えたが、一人、黙って聞いていたガンナーがおもむろに立ち上がり、ヤンの胸ぐらを掴んだ。

「ノゾミはこの話を知ってるのか?」
「あとで話す。」
「“あとで”だ?」
「問題ない…」
「…おい、何があった?」
「何も。」
「最近おかしいぞ。お前も、ノゾミも…」
「関係ないことだ…」
「…」

それ以上何も聞かなかったが、ガンナーにはヤンが何かから逃げているように思えた。



 
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