企画

□鉄平お父さんの日常
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ああ、今日もいい天気だ!


何てのんびりしてると、また順にどやされるかな。


「順、順っ、はやく行こーぜ!」
「解ってるっつのダァホ」


オレと順は同じガッコで働いてるんだ!

だからいつも一緒なんだぜ。

羨ましいだろ?

順は可愛いからな。

直ぐ変な蟲が寄り付いちまう。

だから牽制の意味も込めて、学校でもわざといつも通りにしている。

……ま、順に触りたいってのは本音だったりするんだけどな。















『次からはお待ちかねのバスケだぞ〜。
館内シューズ忘れないようにな!』

チャイムと共に号令で解散。

オレの担当科目は体育なワケだから、朝っぱらからよく動く。

そのせいか、直ぐ腹が減っちまって困るんだよなぁ。





なんて考えながら廊下を進むと、前方に愛しの順平発見。

「あっ、順〜、腹減ったぁ」
「まだ2限終わったばっかだろうが」

いつもみたいに冷静な返事が返ってくる。

「あと順が足りない。充電させて?」
「充電だぁ?」

本当に不思議そうな顔をする順平。

可愛いなぁ、もう。

「こーすんの」
「、ぎゃっΣ」

相変わらず抱き心地がいい。

…ぁ、何か眠くなりそうだ。

「廊下で盛んなダァホ!!!」

順みて盛んない方が可笑しいって。

とか思ったけど言わないでおこう。

「あー、またやってんよ木吉先生たち〜」
「ひゅーひゅー、お熱いねぇ」
「だろ? けど順はオレんだから手ェだすなよー」
「冷やかすな手前らっ!!お前はお前で煽んじゃねーよつかいい加減離せ鉄平!!!」
「オレ本当の事しか言ってないぞ?」
「〜〜〜ッ、だからァ!!」

こんな風に囃し立てる生徒が居れば好都合。

より順がオレのだって知れ渡るからな。















そんなある日。

HRのあとに生徒にひき止められ、談笑した。

だから職員室に戻ったのは終わり時刻を20分程度過ぎたとこ。

扉を開けると、いの一番に順平が視界に入ってくる。

だが今日は、その目の前に他の奴がいた。

丁度話が終わったみたいで、オレはそっと近付く。

「先生、ありがとうございました」
「おぅ、気にすんな」

ふと、その男子生徒がオレに気付いた。

すると少しだけ口角をあげ、順に言った。

「オレ先生とだったら四六時中一緒に居たいです」

明らかにオレに対する宣戦布告だろう。

「ぁー…ああ、オレは別に───」
「駄目に決まってんだろ」
「鉄平!?いつからそこに…!」

驚く順平。そんな表情も可愛くて仕方がない。

だからこそ、言ってやった。

「悪いけど、順はオレんだから。誰にも譲る気はないぞ」

だからそんな笑えない冗談は言うもんじゃないぞ、君。

「安心してください、木吉先生。
貴方達を敵に回すつもりはありませんので。
それでは失礼します」

そいつは笑って言うと、素早くここから出ていった。

順平は未だにキョトンとしている。

「…なぁ、順。今のちゃんと解ってて返事したのか?」
「あ? 何がだよ」
「……っはぁー…」
「??」
「これだから順は手を離せないんだよな…」
「鉄平?」
「兎に角!」

これだから牽制は欠かせない。

順が誰のモノかをしっかりと教えてやらねぇと。

「お前はオレだけの順だからな。
絶対他の奴になんかは渡さないから」

そう言うと、順は目を見開く。

そして、はにかみながら言った。





「誰が他んとこに行くかよ、ダァホ」





その笑顔に、オレの頬も緩んでしまう。


それから、ただ見詰め合うだけでも嬉しかった。


















ここが職員室だと気が付いた時の焦り様も、順はやっぱり可愛かった。




END



 

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