企画

□孝輔君の日常
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「なぁ、こーすけサン!」

うざい。
こいつはその一言がよく当てはまる。

「さつき、頼むからこいつどうにかしてくれ!」

このストーカー、だが一応オレの弟の大輝を指して大輝の双子であるさつきに訴えた。

「はぁ!?何でだよ!?」
「お前しつこいんだよ!!」

大輝は毎朝オレにつきまとってくる。
通っている学校が同じなのだから仕方がないとは思うが、こいつはもうストーカーだ。
手を繋ぎたいだの2人きりがいいだのと同じことばかり毎日飽きもせずに言ってくる。

「大ちゃん!孝輔さんが困ってるよ!」

さつきは毎朝オレ達に付き合って一緒に登校してくれている。
大輝の暴走を止めるために。

オレは今までに大輝の暴走を止められる人を2人しか見たことがない。

大輝を止めれるもう1人の人物はオレ達の弟で現在中学生の征十郎だ。

妹や弟に頼るのは兄として情けないと思うがこいつが絡むと話は別だ。
こいつは危険すぎる。

「大体、何でさつきがいんだよ!」
「大ちゃんが孝輔さんを困らせないように見張るためよ!」

オレはいい妹を持ったな…。

この2人は本当に双子なのかたまに疑ってしまう。

「あぁ、もういいよ!帰りは迎えに行くからな!孝輔サン!」

校門を越えた辺りで、大輝はオレ達を置いて走っていった。


ホントにあいつは一体何がしたいんだよ…。


小さくため息をつきながらオレも校舎へ向かった。











今日は工事の業者が入るとかで授業は午前中まで、部活もないらしい。

帰り支度をしながら午後は何をしようかなどと考えていると突然勢いよく教室の扉が開いた。

驚いてそちらに目を向けるとよく見慣れた奴がそこにいた。

何事かという教室中からの視線を無視し、そいつはオレに近寄ってきた。

「迎えに来たぜ、孝輔サン」
「大輝…何しに来た…」

オレの言葉を聞いて不機嫌そうに眉を寄せた。

「朝、迎えに行くっつたろ?」

そういえばそんなことを言っていたな…。

「はぁ…、さつきは?」

ため息をつくと今までの経験上何を言おうと無駄だとわかっているので、ここにいないこいつの片割れについて尋ねた。

「知らねぇ」

つまりは置いてきたと…。

「オレは孝輔サンと2人で帰りたいんだよ」
「……今日だけだからな」

少し不貞腐れたように言う大輝を見ると結局は甘やかしてしまう。

「サンキュー!」


嬉しそうに笑う大輝を見てると甘やかしてやるのもいいかと思うオレはつくづく甘いな。

「ほら、帰んぞ!」








まあ、こいつが隣にいるのは悪くないしな。





END


 

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