単品

□部屋と総長とわたし
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 不良のチームに入っている。

 というと、大抵の人には驚かれる。理由は簡単で、俺の容姿はどうみても不良には見えないからだ。
 髪を染めるわけでもピアスをするわけでも、もちろん腕が立つわけでもない。そもそも俺は喧嘩なんかしたことない。
 そんな俺がチームの役に立つわけもなく、入っているといっても偶に溜まり場に顔を出すくらいのものだった。喧嘩があれば速攻で逃げるし、周りからもまず逃げろと言われている。

 そんな俺なので、もちろんチーム名を笠に着ることもない。
 周囲の仲間たちはチームを確固たる後ろ盾だと思っているようだった。喧嘩のときチーム名を出してみたり、学校でもチームに入っている者はそれなりに幅を利かせていたりする。
 だが平凡な俺にそんな機会があるわけもなく、俺にとって「チームに入っている」というのは「新聞屋でバイトしている」程度のものだった。
 周囲に言い触らすことでもないし、もちろん自慢に感じることもない。

 チームに入ったのは中二の時だ。そのころの俺は成績が悪かった。しかも両親の海外赴任によりひとり暮らしをしている俺は、とにかく暇を持て余していた。
 誘ってくれたのは同級生の不良だった。毎晩街をふらつく俺を見かねて、卒業した先輩が入っているというチームに、一緒に入らないかと言ってくれた。
 了承したのは、ただひたすらに暇だったからだ。
 溜まり場にいるのは楽しかったし、皆は役に立たない俺にもそれなりに優しかった。


 けれど、俺は今チームを抜けようと思っている。
 理由は簡単で、高校に受かったからだった。
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