短い夢物語6

□隊長沖田内緒の話
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「坂田が、あの女とキスしてて、それで・・・。」

「・・・ッ!」

旦那は、土方さんの目の前でそんなことをしてたのか?信じられない。あの男が、土方さんを裏切るなんて。

「俺、・・・胸が痛い。」

「・・・土方さん・・・。」

キュッ、と心臓近くの服を握る土方さん。その姿がとても弱々しくて。

「!・・・そう、ご?」

「すいません土方さん。」
















思わず、土方さんを抱き締めていた。
















「苦しいでしょう?辛いでしょう?・・・俺がいますから、思いっきり泣いてくだせぇ。」

「・・・!う、わぁぁぁああああ!!」

俺の背中に手を回して、大声で泣き出す土方さん。俺より身長がでかいはずなのに、今はこんなにも小さく見える。

みっともなく俺の胸に顔を埋めて泣く土方さんを更に強く抱き締める。

「うぁぁぁああああん!さ、かた・・・坂田ぁ!」

「・・・土方さん・・・。」

坂田、坂田、と旦那の名前を呼ぶ土方さん。俺が居るのに、旦那の名前を呼ぶ。胸が、ジクリと痛む。

「さかた、さかたぁ・・・!」

「・・・俺が、居ますから。」

未だ、旦那の名前を呼ぶ土方さんの頭に、俺は唇をおとした。




























内緒内緒。

土方さんが好きだと言うのも、旦那が憎らしいのも、土方さんが俺の胸で泣いたと言う事実も。





全て、自分の胸の中に。





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