短い夢物語6
□だいすき!
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「当たり前じゃろ?」
キョトン、とした表情でカクは答える。ウソップは少し複雑な表情でありがとう、と礼を言う。
「箱を開けてみい!わしの自信作じゃ!」
そんなウソップに気付いているのかいないのか、カクはにこにこしながらウソップが箱を開けるのを待つ。後ろからサンジやゾロの止めろ!と言う声が聞こえるが、ウソップは無視し、箱を開けた。
「・・・う、わぁ!」
箱を開けたウソップから出たのは感嘆の声だった。箱から中身を出し、嬉しそうに頬を染める。
ウソップが手に持っているのは羊の顔が特徴の、ゴーイングメリー号に似せた船の模型だった。
「これを、くれるのか?」
「勿論じゃ!・・・あの時は、本当にすまんかった。」
船を海に流したことを思い出したのか、カクはしゅんとする。
「確かにあの時のことは許せないけど・・・もう終わったことだ。」
「ウソップ・・・!」
「だから気にすんな!」
ニッとウソップが笑う。カクはそれに嬉しそうに顔を緩めると、勢いよく抱きついた。
「うわぁ!?」
「殺す!」
うがぁ!と獣のようなものになりかけているサンジとゾロを、ロビンが己の能力で動きを封じる。今になってやっと騒ぎに気付いたのか、チョッパーと共にルフィとフランキーもやってきた。
「げっ!なんでアイツがいるんだ!?」
チョッパーが疑問の声をあげるが誰も答えない。
「離れろ!」
「嫌じゃ!」
ウソップは逃げようともがくが、カクは更に強く抱き締める。ナミとロビンは事の行方を楽しそうに眺めているだけ。
その時、
―――プルルルルル
「!」
カクが持っている電伝虫が口を開いた。カクは露骨に嫌そうな表情をし、渋々と言った感じに出る。むろん、ウソップを抱き締めながら。
「もしもし?長官、今日はわし任務はせんと―――。」
「あらら。今日は俺が来るって伝えてたはずだけど?」
「・・・大将青キジ!?」
カクは驚きの声をあげる。傍観に徹していたナミやロビン、状況のわからないチョッパーやルフィ、それにフランキー。ロビンの能力で動けないサンジやゾロ、抱き締められているウソップも、みんな、カクの電伝虫に目をやった。
「な、なんで大将青キジが!?」
「あらら。もしかして知らなかったの?」
「は、はい!」
あわあわとカクは答える。暫く会話していたカクは電伝虫を切ると、ウソップを抱き締めるのを止め手を握る。
「本当はもう少し、ウソップと居たかったんじゃが・・・。」
「青キジが呼んでるんだろ?」
「あぁ・・・。」
しょんぼりしながらカクは返事を返す。そして、本当に本当に残念そうに手を離すと、また来るわい!と笑ってその場から消えた。
「もう二度とくんな!」
ゾロとサンジがそう言ってカクが消えた方向に向かって怒鳴った。
だいすき!
(好きで好きでわしにはウソップしかいないんじゃ!)(じゃから、)(生まれてきてくれたことが本当に嬉しいんじゃ!)
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