短い夢物語5

□紅薔薇が揺れる
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ゆらゆら揺れる紅色の薔薇が目についた。

自分の胸から溢れる血に、口から漏れる血。

倒れながら振り返れば、揺れる紅薔薇。

あぁ、あの人か。あの、綺麗な紅薔薇の人。

私はあの紅薔薇の人に殺られたのか。

視界が真っ赤に染まる。意識が遠のいていく。





最後まで、あの紅薔薇から目が放せなかった。




















ゆらゆら、ゆらり。

シルクハットについている紅薔薇が揺れる。黒色の紳士服に少し飛び散った血の臭いが鼻を刺激する。

「・・・。」

カクはゆらゆらと揺れる紅薔薇をシルクハットからブチリととると、その場へと投げ捨てた。





ゆらり、紅薔薇が落ちた。






























紅薔薇が揺れる






























(何故かあの知らない彼女を、)(殺すのに躊躇った、なんて)





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