短い夢物語6
□隊長沖田内緒の話
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内緒内緒。
これは誰にも言えない話。
【隊長沖田内緒の話】
土方さんが旦那の所に行った。病室から抜け出して。
病室のドアを開けた瞬間、白色の空間では目立つはずの黒色が見えなくて、見舞いに持ってきたマヨネーズを落としたのを覚えている。
その後は真っ白。気付いたら旦那の所に向かっていて。声をかければ驚いた表情の旦那。
それでわかった、土方さんはここに来たって。
・・・悔しかった。旦那という存在が、とても大きく見えた。土方さんは記憶を無くしても、心の奥底で旦那を覚えてる。
それが悔しかった。
「・・・土方さん。」
「・・・総悟?」
病室の服を着た土方さんは、路地裏でボロボロと涙を流していた。何時もの土方さんじゃあり得ない、みっともない泣き方。
その涙が、旦那のことを想って、と言うのが非常に気に食わない。
「帰りましょう、土方さん。」
「・・・。」
手を差し伸べるが土方さんは手を掴まない。
「土方さん。」
「・・・俺、」
土方さんがポツリと口を開く。その先がなんとなく予想できて、聞きたくなかった。
けど、その前に土方さんは言葉を紡ぐ。
「坂田に、裏切られたの?」
ドクリ、胸が鳴る。
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