短い夢物語6
□この気持ちに蓋をした
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枢様は黒主優姫が好きだ。それははっきり言える。
だって、枢様の彼女を見る眼差しが、喋る時の声色が、頭を撫でる時の仕草が、全てが、それを物語っていた。
「寮長はまたアイツの所か・・・。」
「・・・。」
「・・・どうした英?」
「・・・別に。」
「・・・そうか。」
暁の呟きに拗ねてしまう自分。暁はわかってるんだ、本当は。僕が拗ねてる理由。わかってるのに、聞いてこない。そんな暁の優しさが嬉しくて、でも心が痛い。
僕は彼女が、優姫ちゃんが好きだ。でも、枢様が優姫ちゃんのこと、好きだから。
「・・・暁。」
「なんだ?」
「僕は・・・どうしたらいいのかな・・・。」
「・・・。」
黙る暁。わかってるよ、だって僕の恋敵(ライバル)は枢様。尊敬しているし、憧れの存在である枢様。
諦めるしか、ないんだ。
「・・・とりあえず、正直になってみたらどうだ。」
「え?」
「・・・いや、なんでもない。」
まさかの言葉。暁がそんなこと言うなんて。諦めろ、そう言われると思ってたのに。
「・・・。」
暁は僕から目をそらす。僕はそんな暁の横顔を眺め、目をそらした。
「・・・そうだね。」
正直に、か・・・。
けれど、わかってるんだ。目に見えているんだ結果は。だって、優姫ちゃんにとって枢様は命の恩人であり、最愛の人。僕が正直になったところで、どうにでもなる問題じゃない。
だから、僕は、
「・・・。」
「・・・。」
この気持ちを閉じ込めることにした。
この気持ちに蓋をした
(好き、だよ優姫ちゃん)
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