短い夢物語6

□ニコニコ笑顔の向こう側
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「あー!カッシェルの旦那ァ、そりゃないッスよォ!」

耳障りな声が質素な部屋に響く。

ここはどこかわからない。どうやら、セネル達に負けた俺は、あの建物の少し離れた場所で発見されたらしい。・・・セネル達なりの配慮なのかわからないが。

そんな俺を、目の前の髪の毛ボサボサで服もボロボロな女が拾ったらしい。

そして、拾われてからはや一週間。食事はかなり質素だった。毎日鳴り響く俺の腹の虫をどうにかしてくれ。

だが、先程述べた通り、この女は質素な生活・・・否、貧乏な生活を送っていた。

「カッシェルの旦那、今日は魚釣ってきたんで魚食べましょ魚!」

「・・・。」

「あ、カッシェルの旦那は魚嫌いだったりしやす?好き嫌いは良くないッスよー?」

何を言わなくても、この女は喋る喋る。俺がこの女と会話を交わしたのは、たったの二言だというのに。















『あ、旦那おきやしたか?』

『・・・ここはどこだ。』

『ここッスか?さぁ?それより、旦那の名前はなんて言うんスか?』

『・・・カッシェル。』
















たったそれだけ。なのに女は満足そうに笑うだけ。何も喋らない俺にニコニコ笑いながら話す。怪我が重症じゃなけりゃ、いますぐこの家から出て行って、場所を把握し、灯台の街辺りにでも向かうというのに。

「カッシェルの旦那、明日はもぉっとおっきな魚釣ってきてあげやすよー!」

「・・・。」

ニコニコしながら魚を頬張る女を見、俺は視線をそらした。






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