短い夢物語5
□始業チャイムの鐘がなる
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キーンコーンカーンコーン・・・
学校独特の授業の終わりを知らせるチャイムがなる。と、殆ど同時にZ組の担任である坂田 銀八は口を開いた。
「じゃあ、そういうことだから。」
「いや、なにが?」
冷静にツッコミをいれる志村 新八。だが、彼のツッコミに答えてくれる人物なんて誰一人いない。
相変わらず読めない奴だ、と土方 十四郎は思った。と言うか、先生になれている時点で良くなれたなと尊敬してしまう。
「やっと三時間目が終わりやしたね、土方さん。」
「そうだな。そしてその手に持ってる弁当は誰のだ。」
「やだなー勿論土方さんのに決まってるじゃないですか。」
「てめぇ!!」
話しかけてきた沖田 総悟の問いかけに答えていた土方だが、慌てて弁当を取り上げる。勿論、中身は綺麗さっぱりなくなっていた。
「タエタエー!」
「だから、その呼び方止めろって言ったろーがァァァアアアア!!」
「ゲフッ!!」
「・・・またやってやがる。」
「相変わらず綺麗な蹴りでさァ。」
志村の姉ちゃん、と沖田は呟く。
ある意味名物になってしまった光景。気にとめる人物なんて、やはり誰もいない。まず、このクラスの人間が変わっているからだ。土方はハァと呆れたようにため息を吐いた。
「・・・土方さん。」
「なんだ総悟。」
「もし、俺が土方さんのこと、好きだって言ったらどうしやす?」
「お前がんなこと言うわけねーだろ。」
即座に否定する土方。それに沖田は暫く黙ると、また口を開く。
「土方さん。」
「あん?」
「好きです。」
真剣な瞳で土方を見る沖田。それに土方は固まる。ドキリ、心臓が高鳴った。
「―――なんてね。」
どうするべきか、なんて土方が思っていると、沖田はふいと顔をそらす。土方はそうかよ、と顔をそらして返事を返した。
真っ赤になった顔を、見られないために。
キーンコーンカーンコーン・・・
始業チャイムが、鳴った。
始業チャイムの鐘がなる
(授業はじめんぞーって、多串君どったの?)
(・・・なんでもありません)
(・・・土方さん?)
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