短い夢物語5

□紅薔薇が揺れる
1ページ/3ページ

暗闇の中、溢れてくる紅(あか)色から、目が放せなかったのは何故じゃろう。

最後の最後まで、目を放すことが出来なかったのは、何故じゃろうか。

今になっては、もうわからないことじゃけれど。




















「すいません。」

とある金持ちの企画したパーティー会場。カリファと共に暗殺の任務でこの会場に来ていたカクは、声をかけられたことに気づき、笑顔を作って振り返った。

「なんじゃ?」

「あ、その・・・シルクハットについている紅色の薔薇が綺麗だったので、つい・・・。」

少し顔を赤くしながらいう女性に、カクはそうか、とただ答える。女性はすいません、とまた謝るとパタパタとかけていった。





「・・・。」





それをカクは無表情で見届けると、カリファに声をかけた。




















「キャー!!」

パーティー会場にいた女性達が悲鳴をあげる。いきなり会場の電気が消えたのだ。ざわざわと騒がしい周りをしりめに、カクとカリファは暗闇の中をスイスイと動く。

「―――見付けたわ。」

カリファの声に、カクは目を細める。そこには、暗殺のターゲットでもある、先程カクに声をかけた女性がいた。

名前はなんじゃったかな、と長官に聞いた名前を思いだそうとするが、直ぐに死ぬのだ、どうでもいいわい、とカクは頭をふった。

カクは指をポキリと鳴らし、その女性の背後へと周りこむ。















「指銃。」















ドスリ、指が女性の心臓を貫いた。






次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ