短い夢物語5
□紅薔薇が揺れる
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暗闇の中、溢れてくる紅(あか)色から、目が放せなかったのは何故じゃろう。
最後の最後まで、目を放すことが出来なかったのは、何故じゃろうか。
今になっては、もうわからないことじゃけれど。
「すいません。」
とある金持ちの企画したパーティー会場。カリファと共に暗殺の任務でこの会場に来ていたカクは、声をかけられたことに気づき、笑顔を作って振り返った。
「なんじゃ?」
「あ、その・・・シルクハットについている紅色の薔薇が綺麗だったので、つい・・・。」
少し顔を赤くしながらいう女性に、カクはそうか、とただ答える。女性はすいません、とまた謝るとパタパタとかけていった。
「・・・。」
それをカクは無表情で見届けると、カリファに声をかけた。
「キャー!!」
パーティー会場にいた女性達が悲鳴をあげる。いきなり会場の電気が消えたのだ。ざわざわと騒がしい周りをしりめに、カクとカリファは暗闇の中をスイスイと動く。
「―――見付けたわ。」
カリファの声に、カクは目を細める。そこには、暗殺のターゲットでもある、先程カクに声をかけた女性がいた。
名前はなんじゃったかな、と長官に聞いた名前を思いだそうとするが、直ぐに死ぬのだ、どうでもいいわい、とカクは頭をふった。
カクは指をポキリと鳴らし、その女性の背後へと周りこむ。
「指銃。」
ドスリ、指が女性の心臓を貫いた。
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