短い夢物語5
□愛しいけれど憎いお方
1ページ/2ページ
私には好きな人がいる。
王女である私が、海賊の方を好きになったなんて知ったら、お父様はなんて言うかしら?
「ビビちゃん、ジュースお持ちしました。本日はナミさんのみかんを使った、絞りたてで御座います。」
「有り難う、サンジさん。」
「ど〜いたしましてぇvV」
笑って礼を言えば、目をハートにして身体をくねらすサンジさん。相変わらず面白い人。ある意味、ゴム人間の彼より柔らかいわ。
「サンジくーん!あたしにもちょうだい!」
「よろこんでぇ!!」
「あっ・・・。」
口を開こうとした矢先、ナミさんがサンジさんにドリンクを頼む。それを聞いたサンジさんはメロリ〜ンと言いながらナミさんの方へ向かってしまった。
「・・・。」
ムッ、とした。
それは、私がサンジさんに恋をしてしまったから。
私以外を、見てほしくないから。
でも、言えるわけがない。サンジさんは女性みんなに優しいから。
きっと、特別誰かを好き、なんてないと思うから。
それにもし、サンジさんが誰かを好きだったとしても相手は恐らく、今喋っているオレンジ色の髪をもつ彼女。
私なんかが、敵うはずがない。
気持ちを言えばサンジさんを困らすのはわかってる。それにもうすぐアラバスタにつくのだから。
好き、好き、・・・愛しい。
けど、他の女性にも優しくする貴方は、憎い。
「ビビちゃん。」
「!え!?」
目の前にサンジさんが来ていたことに気付かず、私は驚いて声をあげる。それを聞いたサンジさんは苦笑して、口を開く。
「さっき、何か言おうとしてなかった?」
オレの勘違いかな?と尋ねてくるサンジさんを見て、彼は本当に洞察力が鋭い、と思う。そして気付いてくれたことがとても嬉しい。
私は喜びを抑えきれずに顔を綻ばせ、口を開いた。
「えぇ、実は・・・。」
愛しいけれど憎いお方
(ルフィさんが料理の味見、と言いながら全部食べていたのだけれど・・・)
(・・・あんのくそゴムー!!!)
あとがき→