短い夢物語5

□愛しいけれど憎いお方
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私には好きな人がいる。

王女である私が、海賊の方を好きになったなんて知ったら、お父様はなんて言うかしら?

「ビビちゃん、ジュースお持ちしました。本日はナミさんのみかんを使った、絞りたてで御座います。」

「有り難う、サンジさん。」

「ど〜いたしましてぇvV」

笑って礼を言えば、目をハートにして身体をくねらすサンジさん。相変わらず面白い人。ある意味、ゴム人間の彼より柔らかいわ。

「サンジくーん!あたしにもちょうだい!」

「よろこんでぇ!!」

「あっ・・・。」

口を開こうとした矢先、ナミさんがサンジさんにドリンクを頼む。それを聞いたサンジさんはメロリ〜ンと言いながらナミさんの方へ向かってしまった。

「・・・。」





ムッ、とした。





それは、私がサンジさんに恋をしてしまったから。

私以外を、見てほしくないから。

でも、言えるわけがない。サンジさんは女性みんなに優しいから。

きっと、特別誰かを好き、なんてないと思うから。

それにもし、サンジさんが誰かを好きだったとしても相手は恐らく、今喋っているオレンジ色の髪をもつ彼女。





私なんかが、敵うはずがない。





気持ちを言えばサンジさんを困らすのはわかってる。それにもうすぐアラバスタにつくのだから。

好き、好き、・・・愛しい。

けど、他の女性にも優しくする貴方は、憎い。

「ビビちゃん。」

「!え!?」

目の前にサンジさんが来ていたことに気付かず、私は驚いて声をあげる。それを聞いたサンジさんは苦笑して、口を開く。















「さっき、何か言おうとしてなかった?」















オレの勘違いかな?と尋ねてくるサンジさんを見て、彼は本当に洞察力が鋭い、と思う。そして気付いてくれたことがとても嬉しい。

私は喜びを抑えきれずに顔を綻ばせ、口を開いた。

「えぇ、実は・・・。」






























愛しいけれど憎いお方






























(ルフィさんが料理の味見、と言いながら全部食べていたのだけれど・・・)

(・・・あんのくそゴムー!!!)





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