エンジェルコード【その他】

□任務外で降臨する理由
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「おや?降臨するのかい?」

黄昏時、雲の谷間から地上を見下ろしていたアザゼルを見つけて僕は声をかけた。

「お役目?ご苦労様」

アザゼルはよく働くと思う。彼は地上の人間を監視する役割を担っているせいか、よく降臨する。今回も監視の任務だろうと思ったのだけれど、彼はバツの悪い表情を一瞬だけ見せた後、そうだ、と答えた。

「ふーん?嘘、でしょ」

「なっ…」

誤魔化そうとしたみたいだけど、無駄だと悟ったみたいでアザゼルは開き直った。

「だったらなんだ。フラフラと遊び歩いてるおまえにあれこれ言われる筋合いはない」

「そう怒らなくてもいいんじゃない?ねぇ、地上は楽しい?何か面白いことある?」

「人間」

「人間?人間が面白いのかい?何が?どこら辺が?」

僕を煙たそうにしているアザゼルなんてお構い無しに僕は訊ねる。
逃げないように、彼の肩に腕を回して。

「下等生物ながら、知識を与えればそれを吸収し活用する。そして我々では考えつかないようなことを考えたりする。打って響く様を観察するのは楽しい。人間が独自に開発した文明を研究するのもね」

「ふーん?」

それって楽しいのかな。僕にはよくわからない。
というか、それってあれ?
何か、いけない香りがするんだけど。

「君、もしかして必要以上に人間に関与してない?君のお役目は人間の監視だよね?」

「神から与えられた役目はそうだ。だが、知識を得た下等生物が進化していく様を観察するのは楽しい。考えたことはないか?人間の無知さは罪に値すると。その罪から解放してやりたい。私は人間を救ってやろうというのだ。何が悪い」

……悪くはないと思う。
だけど、神からしてみればどうかな?
神は人間が余計な知識を持つことを嫌っている。
アザゼルのしていることは神にとっては喜ばしくないことなんじゃないのか?
神からのお咎めがないことを祈ってあげるよ。


僕から解放されたアザゼルは地上へと降臨していった。

人間、か。

神の所有物だから興味もなかったけど、地上に追放された時点で人間は神から離れたわけだから。
興味をもってみてもいいかもね。退屈しのぎにはなるかもしれない。


それじゃあ、僕も降臨してみようかな。








-end-

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