エンジェルコード【その他】

□代償
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魂の代償を払ってでも手に入れたい魔法がある。その魔法さえ行使できたのらば、私は地獄に堕ちてもかまわない。永久に魂を鎖で繋がれ、苦を与えられることもいとわない。
私は魔王シェムハザを捜した。


「私を求めたのは貴方ですか?」


突如後方から声がした。振り返ることができない。

背中で感じる威圧感。

いる。

捜し求めた魔王が。
なのに振り返ることができない。


「そう怯えずともよいのでは?」


スッ…

魔王は手を動かし、私の髪を後ろから掬った。
耳元で囁かれる声。


「貴方は私に何か望みがあのでしょう?」



カタカタと震える私の身体。


「震えてますね。止めて差し上げましょうか?」


肩に手が置かれた。
その途端、私の身体はピタリと動きを止める。
私は声を出した。
身体の震えは止まっても、声は震えていた。


「魔法を…。私に魔法を教えてっ!」

「私に魔法の講義をして欲しいと…?その代償は少々高くつきますが……、どうやらその覚悟はおありのようですね」











こうして私は魔王から魔法を教わり念願を叶えることができた。
そして約束した代償を魔王に支払った。私の魂を。
私は罪人となり、魂の所有者である魔王に逆らうことはできない。
だが、想像していたような苦しみはなかった。
この魔王の配下として暮らすのは私にとって幸なことだとさえ思うのだった。





-end-

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