エンジェルコード【その他】

□君には死の恐怖を
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「私が人間に教えた禁じられた知識が何なのか気になるようだね。教えてあげてもいいが…。それよりも君には死の恐怖を教えてあげよう」


そう言って魔王アザゼルは片手を上げた。ゆっくり、優雅に。
その動きを目で追っていくうちに私の足元から何かが這い上がってくるのを感じた。


私は視線を下に向ける。

「ヒッ…!」

足元から這い上がってくる無数の毒虫に小さく私は悲鳴を上げた。
毒虫たちが、カサカサと音を立てて私の身体を上っていく。
チクチクと痛みを覚えたのも束の間、それらは激しい痛みとなって私を苛んだ。




痛い、痛い、痛い!
助けて、助けて、助けて!

私は涙を流しながら魔王を見た。
冷たく蔑む眼光。
その光は綺麗な色をしていた。
綺麗…。
そう一瞬だけ思った。
思ったのが一瞬だけだったのは、直ぐ様激痛を思い出したからだ。




魔王は言った。
君には死の恐怖を教えてあげよう、と。
私は今、死の恐怖を魔王から与えられている。


だけれど死ぬことはない。

魔王は言った。

死の恐怖を教えてあげよう、と。

けして命を奪うとは言わなかった。


これがどういうことだかおわかりいただけるだろうか?



-end-

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