指揮棒部隊
□prelude
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……と、ハナシがズレちゃいましたね。いけないいけない
まあ、このあたりの魔法使い事情なんてモノは、今この時代をフツーに生きている方なら誰だってぼんやりとはご存知のハズですが…
念のため、ザッとご説明しましょうか
一度改めて理解を深めておいたほうが、後々の説明が、スゥッと頭に入ってくるハズですし
新しい生命の誕生を人間が望んだ時、『遺伝子操作』を行う事によって、より優秀な、家族の望む形質や才能を持つように、子供を『カスタム』する
そのシステムが一般化され始めたのは戦前のコトだから、確か三十年代… 今から、ざっと四十年近く前のことだ
そして、その遺伝子操作の『副作用』
科学的にその原因がまったく解明できない症状が生まれてきた子供に発現し始めたのは、最初にカスタムして生まれた子供が成長して5、6歳になった頃
その症状というのが、他でもない、今現在『楽園同盟』の連中が、正式に『魔法』と呼んでいるモノなんです
『症状』が発現する割合は、数千人に一人という多いんだか少ないんだかいまいちピンと来ない割合らしい
『違法カスタム』なんてモノが一時期流行ったそうだから、正確な統計を取ることはもはや不可能なのだそうだ
その中でも症状は子供によってまちまちで、自覚症状のほとんどない… つまり、ものすごく微弱な魔力しか持たない子が圧倒的に多い
それでも、ガッツリ使えてしまう子供達も、一定数しっかり存在してしまっているワケでして
炎や雷を出す、なんていう派手でいかにもなモノから、「変なモノが見える」などと周囲に訴え、親にさえ気味悪がられる、なんていう少々特殊なパターンもある
…この、ボクの様に
そしてこの症状、成長してゆくにつれて症状が治まっていく、という特性がある
発現するのはだいたい5、6歳ぐらいで、思春期にピークを迎える
そして二十歳を過ぎたあたりから少しずつ落ち着き始め、三十路前には自然治癒してしまう、というパターンがほとんどなのだそうだ
要は… 大人の『魔法使い』は、ほとんど存在しないというコト
そんなひどく限定的な『病気』の特性が災いし、高い魔力を持っていた少年少女達の多くが、『魔人部隊』と俗に呼ばれた特殊部隊として、秘密裏に戦争に駆り出されたのだそうだ
しかし戦後、『魔法使い』の存在とその人権が『楽園同盟』に公式に認められるようになったとたんに、事態は一変
彼等はむしろ、ごく一握りのエリートとして『機関』に大事に育てられるようになったのでした
利用価値が高いモノを丹精こめて育てて、使い勝手を良くしようとしているんでしょうね