短篇集

□ちょこれいとぱにっく! 完結編☆
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SSO学生食堂、厨房―


「と、いうわけで! Let’s チョコづくり!」

「おー!!!」



男子共がソワソワと残念な会話を繰り広げていた、ちょうどその頃

バレンタインを目前に控えた女子たちは、調理員さんたちの許可をとり、毎年恒例のお菓子作りに勤しんでいた



「ねえねえー、やっぱり、ヴィリアはシギにあげるんだよねー? どんなの作ってるの??」


可愛らしいエプロンと猫耳カチューシャを身につけながら、のんびりと、ヴィリアの手元にあるバットを覗き込んだ

あっ! と声をあげて隠そうとするヴィリアの手元を遮って、カノンがささっとバットを取り上げる

「うわあ…!! かっわいいー!!!」


そこには、可愛らしい小さなハート型の、ピンク色のクッキーが並べられていた


「むちゃくちゃいい感じじゃーん! これもらったら、きっとシギすっごいデレると思うよー!!」


なっ… なっ… なっ…!! と、顔を真っ赤にして、あわあわと両腕を動かすヴィリア


「ヴィリアかわいいー!! アタシもがんばんなきゃ! あ、シノ、それとって!」


可愛らしいリボンの付いた包装紙とハート型の大量のチョコレートを相手にラッピング作業に打ち込みながら、カノンが小さく気合いを入れる


「そういうカノンは誰に渡すの? やっぱりイク?」


ラッピング用のピンク色に光るワイヤータイの束を手渡しながら、さり気なくカノンに問いかけるシノ


「うーん。他の男子にも何人かは義理で渡すけど… やっぱり、一番よく出来たヤツはアイツに回すことになるかな!」

「そう。じゃあ、一緒に渡しに行きましょうか。…イクのところへ」

「うん。いこ! あたしもこれで… ちょうど最後の一個がラッピング終わったとこ!!」


そういって、一緒に連れ立って出て行くシノとカノン


「……カノンとシノって、なんだか不思議な関係だねー」

「うん。綺麗な三角関係、って言えばいいのかな…? 仲いいのが不思議…」


しみじみとつぶやくミイとリリィに、タカスギがクールな言葉を返す


「イクがはっきりせえへんヤツやからこそ、逆にええ感じにまとまってるんやろな」


冷静に分析する言葉に、あー、なるほど… と、どこか曖昧な声があがった



「そういえばさー、ヒタカはなに作ってるのー?? 見せてー!」


ふとミイがたずねると、ヒタカは小さく答えた


「…チョコレート味の、生キャラメルを……」
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