竜退治

□said『Aya』2
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「……!? 姉さん…?」


俺は長かった眠りから、唐突に目を覚ました


永い永い悪夢からようやく逃れられたかのような安堵と、なんとも言い様もない寒気に囚われながら

俺は身体を起こそうとして、身体の節々が痛みを訴えてくることに気が付く

それでもなんとか、固い質感のベットから無理矢理に身体を引き離して辺りを見回した


「ここは… 何処だ…? いや… それより姉さんは……」


まだ意識が白濁しているのが、自分でも分かる

それでも、生まれたその瞬間からずっと共に生きてきた双子の姉が…

俺の半身が側にいないことにだけは、本能に近いレベルで強い焦燥感を覚えた





「あの女のヒトなら、もう一ヶ月も前に死んでますよ?」


背後から投げかけられた感情の篭らない声に、ドキリと心臓が跳ねた


絶対に聞きたくなかった事実をどこまでも単純な言葉で突きつけられ、まだ半分眠っていた意識が一気に覚醒する

振り返ると、隣のベットに足を組んで座っている、紺色の簡単な作務衣のようなものに身を包んだ狙撃手の小僧が、実につまらなさそうな顔をして俺のことを見上げていた


そいつは、俺の動揺を知ってか知らずか…

(本人曰く、「あのときはどうしようもないぐらいに辟易としていたから、他人の気持ちなど知ったこっちゃあないと思ってた」らしい)

なおも俺に追い討ちをかけてくる


「一ヶ月間も眠り呆けたあげく、目を覚ました第一声が『姉さん…?』『姉さんは…』ですか? ボクだって三日前に目ェ覚めたばっかりですけど、『あの日』試験会場で起こったことぐらいは、正しく認識してましたよ」


俺と目を合わせることすらせずに、ただ淡々と、狙撃手は言葉を紡ぐ


「貴方のお姉さんは、一ヶ月前に東京都庁の屋上で、突如飛来してきたドラゴンから貴方を庇って……」
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