短編

□ごめんなさい
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ごめんなさい、




「三郎?」

5年い組の久々知兵助が私の顔をのぞいてくる

「具合でも悪いのか?」

「・・・いや」

「そうか?」

私はそっぽを向いた

すると兵助は顔をしかめ私の隣に来た

「本当に大丈夫?」

「大丈夫だ」

「・・・三郎がそういうなら・・・」

兵助は渋々といった感じで顔を上げる

兵助と私は・・・恋人である



それでも、少し不安がある

もちろん、接吻やいろいろなこともしたがそれでも不安はかき消されず・・・むしろ増える一方


・・・本当に私のことを思っているのだろうか

接吻をするといってもすべて誘うのは私から…

兵助からは誘われたことがない


まぐわいだって週に一回程度(まぁ、少ないほうがいいんだろうが)



それに、彼は一度も、私のことを“愛してる”なんていわない

せいぜい“大好き”程度


兵助は私のことが嫌いなんだろうか・・・

「三郎、どうして泣いているんだ?」

「・・・え?」

兵助に言われて気づいたけれど私は涙を流していた

「悲しいことでもあったのか?」

兵助が私の目を見て問う

「べつに、」

「嘘、いまの三郎は大丈夫そうに見えない」

「・・・」

兵助は私に詰め寄り私の肩に手を置く

「三郎、何かあったの?」


・・・こんなにも心配してくれるのは私を愛しているからなんだろうか?

―もしかしたら、演技・・・―

そんな考えが脳裏に浮かび私は慌ててその考えを消す

―もしかしたら、兵助は私のことを・・・―

―ほかの人が好きなのに、私が兵助を・・・―

一度、いやな考えが浮かぶとそれがどんどん膨れ上がり、もっとも最悪な方へと進んでいく




























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