パロディ

□bloodlettingdoll
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八左が搾り出すように口にする

「殺気を出してるのか?」

外の男は歩いてきた一人の男と合流すると何かを話している

そしてもう一人の男が振り向く

雷蔵達は目を見張った

振り向いた男は雷蔵とそっくりの顔をしていた

違うのは長い髪をひとつに縛り、半目になっているところだけだった

2人組みはカフェまで歩いてくると中に入ってきた

「…」

「…」

お互い無言が続く

「…ねぇ、店長さん、カフェオレ2つ」

「それと、ケーキ10個くらいちょーだい」

不意に発せられた声に驚きつつ注文の品を用意する利吉

「で、怒られたんでしょ、鉢屋」

「うるさいぞ、元はといえばお前が悪いんだろう」

「えー、俺の所為?」

急に口喧嘩を始める2人を呆然と見る

「お前の所為で私は昨日の夜ずっと、残業していたんだ」

「で、ミスしたんでしょ?」

「…ここ勘のおごりな」

「え!?うそうそ、ごめんなさい!!」

このやり取りを見ている3人は警戒を薄めた

「お待たせしました、カフェオレとケーキです」

「よッしゃ!!」

「甘いものばかり食べてると糖尿病になるぞ」

冷ややかな視線に気づきもしないでケーキをほおばる勘右衛門

「…何かようかい?」

「え!?」

「ずっとこっちを見つめていたから…」

困った風に笑えば雷蔵は慌てる

「え、えーと、な、仲がいいなぁって思って」

「そう?」

「うん、それに、僕と同じ顔だったから」

雷蔵が言うとそーいえば、と声を出した

「確かに似てますね」

「はちやぁ、次のお店行こう!!」

「お前はもう少しゆっくり食べるべきだと思う」

勘右衛門が三郎に抱きつきながらせかす

「…では、またあえたら」

「うん、またあえたら」

そういって三郎は会計を済ませて出て行った




‐外‐

「三郎、俺以外と話しちゃだめ」

「わかったよ、だけどこれも情報収集だ」

さっきの笑顔は掻き消え無表情で冷徹な顔をした三郎と勘右衛門がいた



‐カフェ‐

「…あの人は、一体…?」

「さぁな、でも、あいつは殺人犯じゃない」

「どうして?」

八が断言すると兵助が身を乗り出してきた

「だって、血の匂いがしなかったからな
…利吉さんの話を聞く限り相当人を殺してるはずだから、血の匂いはするはずだぜ」

「あー、八左は鼻がいいからねー」

このときは、このときの3人はこの後起きる悲劇を知らない





知っているのは、鉢屋三郎と尾浜勘右衛門だけが知る…




























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