短編

□地獄の冬
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『ねえブロリー』

「何だ?」

『もうこれ、やめようよ』

「何故だ」




さっきからずっとこれの繰り返し。
今私は、こたつのなかに入りながら、ブロリーの上に座っている。
正確には、座らされた。

まあ暖かいけれども、恋する乙女にとってこれは辛い。




『や、屋根が落っこちてきたら、どうするの?雪まみれになっちゃうよ?』

「千尋さえ雪まみれにならなければいい。」

『え!?で、でもさあ、ブロリーこそ雪まみれになって風邪ひくよ?』

「風邪ってなんだぁ?」




あぁ…そうか。
ブロリーは風邪なんかひいたことがないんだった……

いっそう強く抱き締められ、心臓が弾けそうになる




『ぶ、ブロリーっ!ちょおっとでいいから離してくれないかな?』

「ヤダ」




はあぁ………
これから、ずっと離してくれなそうです

ギシ…………




『?』




屋根が音をたてているので、上を見上げた。




『げっ…………』

「?」




屋根に亀裂がはいり、ついに崩れた

そうなれば雪まみれは当然で…




『…あれ?』




いつまでも衝撃がこない。
見るとブロリーも雪をかぶっていない。
その代わり、部屋が雪まみれである

私とブロリーのまわりには、緑っぽい、暖かいバリアが




『ブロリー?』

「オレのこたつ。どうだ?」

『すっごくあったかくて…優しくて、もうブロリーみたいだよ』




そういうとブロリーは笑った。
このブロリー特製こたつは電気代もくわないし、なによりあったかい。

このこたつは、ブロこたつと呼ぶことにしましょう。




『でも………』

「?」

『一番暖かいのはブロリーだよ…!』

「千尋も、あったかいぞ!」

『ブロリーはブロこたつ』

「千尋は千尋こたつ、だ!」






地獄の冬

それは地獄というより、天国でした

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